百年前と百年後を生きる君へ
そう言って、彼は私の握りしめる本を指差してきた。
「面白いですよね」
「あ、はい…!一番好きな本なんです」
電車が停車駅に着いたようでゆっくりと止まり、何人かの乗客が乗り込んできた。
彼は通路の邪魔になることを考慮して「それじゃあ」と言うと、元の定位置へと戻っていってしまった。
時間にしたら二分とか。とても短い会話だった。
それなのに私の心臓はさっきから感じたことのないくらい脈打っていて、しばらく落ち着くことはなかった。
名前も知らないし、きっともう話すこともないだろう。
それでも、私はまた明日彼の姿を探してしまう。そんな気がした。
*
「千鶴、またいつもの場所に行くの?」
空になったお弁当箱を包んでから鞄の中に入れて立ち上がると、隣の席の佳代ちゃんが声を掛けてきた。
「うん。昨日から夏本番って感じで暑くなってきたけど、今日は涼しくて外でも過ごしやすいから」
「本当、千鶴は本と外が大好きね。この前素敵なひまわり畑を見つけたから、ぜひ千鶴にも見せてあげたいと思ったのだけど…無理だもんね」
「面白いですよね」
「あ、はい…!一番好きな本なんです」
電車が停車駅に着いたようでゆっくりと止まり、何人かの乗客が乗り込んできた。
彼は通路の邪魔になることを考慮して「それじゃあ」と言うと、元の定位置へと戻っていってしまった。
時間にしたら二分とか。とても短い会話だった。
それなのに私の心臓はさっきから感じたことのないくらい脈打っていて、しばらく落ち着くことはなかった。
名前も知らないし、きっともう話すこともないだろう。
それでも、私はまた明日彼の姿を探してしまう。そんな気がした。
*
「千鶴、またいつもの場所に行くの?」
空になったお弁当箱を包んでから鞄の中に入れて立ち上がると、隣の席の佳代ちゃんが声を掛けてきた。
「うん。昨日から夏本番って感じで暑くなってきたけど、今日は涼しくて外でも過ごしやすいから」
「本当、千鶴は本と外が大好きね。この前素敵なひまわり畑を見つけたから、ぜひ千鶴にも見せてあげたいと思ったのだけど…無理だもんね」