百年前と百年後を生きる君へ
「あ…っ」


慌てて立ち上がるが、栞は高く高く舞い上がっていくと、塀の向こう側に消えて行った。


「嘘でしょ…」


昨日押し花で作ったばかりの、手作りのアジサイの栞だったのに…。

諦めよう。塀の向こう側になんて行けるわけがないのだから。

小さくため息をついて再びベンチに座り直そうとすると、どこからかコンコンと音が聞こえてきた。

耳を澄ませているともう一度、コンコンと花壇の方から何かを叩くような音が聞こえてくる。

恐る恐る音のする方に近づいていくと、黄色のパンジーの花壇から音が聞こえてくることに気づいた。


「う…っ、重い…」


もしかして、と思い、花壇を前にずらしてみるとそこだけぽっかりと穴が空いていた。

大きさは猫や犬が通れるくらいの小ささなため、花壇でうまく隠れていたみたいだ。


「これ、君の?」


穴を通して、塀の向こうから男の子の声が聞こえてきた。

それと同時に、すらりとした指が私の栞を掴んだまま、差し出された。
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