死なないで
3時間ほどたって、海汰くんは出てきた。

「海汰」

要が急いで、海汰くんを引き止めた。

海汰くんは、驚いたような顔をしていた。

「お兄ちゃん」

「海汰、何しようとしてるの?」

要が、しっかりと海汰くんの手を掴んだ。

「どういう意味?」

「原田さんから聞いたよ。」

「すみちゃんから?」

「うん」

「月村を殺しちゃダメだってわざわざ言いに来たの?俺を置いて、施設を出ていったくせに、今更?」

「そうだよ。止めに来たんだよ」

「お兄ちゃん、言ったよね。俺が父さんを殺した時、人を傷つけた人は死んでもいいって。殺してもいいんだって」

「僕が間違ってた」

海汰くんの顔が歪んだ。

「それってさ、俺が、俺の今までの人生が、全部間違ってたってこと?」

海汰くんは、要の腕を振り払い、走っていってしまった。

要は追いかけようとした、でもその場に座り込んでしまった。

私は、要に駆け寄った。要は泣いていた。

「要。要は間違ってないよ。大丈夫だよ。また明日、ここで待ってよう。それで、もう一度海汰くんと話そう」

その日は、すみちゃんの家に泊めてもらった。
< 109 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop