死なないで
次の日、朝早くに、月村の家へ向かった。

月村の屋敷を見て私たちは言葉を失った。

燃えている。

轟々と炎をあげて、屋敷は燃えていた。

中から海汰くんが出てきた。私たちを見て、顔を逸らした。

「海汰!」

要が勢いよく、海汰くんを揺さぶった。海汰くんのポケットから何かが落ちた。

「これ、海汰がしたの?答えて」

海汰くんは黙って俯いている。私は、落ちたものを拾った。

「睡眠導入剤…」

私は瓶に書かれていた言葉を口に出した。

それを聞いた要が、海汰くんの胸ぐらを掴んだ。

「海汰!あれを月村に飲ませたの?それで、火をつけたの?」

「そうだよ!ダメなの?」

海汰くんは泣いていた。

「お兄ちゃんが言ったんじゃないか。殺していいって。月村はすみちゃん父親に酷いことしたんだよ。だから、死んだっていいじゃん!」

要が海汰くんの頬を叩いた。

海汰くんが頬を抑えて、要を見つめている。

「馬鹿。もう気づいてるでしょ。僕が間違ってたってありがとう」

海汰くんは要を睨みつけると、走って逃げ出して行った。

「要!海汰くんを追いかけて!私は、月村を助けに行く!」

「何言ってるの?危ないよ!」

「大丈夫だよ!ほら、早く海汰くんを追って!」

要が走り出した。

「死なないでよ!」

振り返って、要が言った。私は、何も返事をしなかった。
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