忘れないまま恋をした


「無理に進まなくていいのよ」

少しだけ間を置いて、

「私たちだって一緒よ」

湯のみを包む手が、ゆっくり動く。

「歩けるときに、歩けばいい」

その優しさが、痛い。

私はまだ立ち止まっているのに。

でも――

私は知っている。

直哉が、

三年待っていることを。
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