忘れないまま恋をした
直哉は黙っている。

責めない。
喜びもしない。

ただ、静かに聞く。

「意味わからないよね」

笑おうとした。

でも涙が先に出た。

「だって私、何も返してないのに」

「待たせてるのに」

「好きって言われても、断って」

「それなのに…」

声が震える。

「誰かに取られるのは嫌とか」

涙が落ちる。

「最低じゃん」

沈黙。

冬の風が木を揺らす。
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