忘れないまま恋をした
そして春。

私たちは同じ高校に通うことになった。

また一つ近づいた。

入学式の日。
校門の前で、颯斗が軽く手を上げた。

「合格おめでとう」

少し照れくさそうに笑う。

「ありがとう」

そう返すと、颯斗は当たり前みたいに言った。

「まぁな」

颯斗はもう三年生だった。

同じ高校。
同じ通学路。

でも、学年は違う。

廊下ですれ違えば軽く手を振って、
たまに帰り道が一緒になる。

それだけなのに、
前よりずっと距離が近く感じた。

颯斗は制服姿も、
すっかり高校生らしくて。

隣に並ぶと、やっぱり少し大人に見えた。

同じ学校にいるのに、
まだ少し先を歩いている人。
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