忘れないまま恋をした
11
春の午後。

仏壇のある和室に、直哉が正座している。

緊張して背筋が伸びきっているのがわかる。

「はじめまして」
深く頭を下げる直哉。

私は隣で、指先が震えていた。

義母はしばらく直哉を見て、それから颯斗の写真に目を向けた。

「……そう」

もう一度、小さくつぶやく。

その“そう”の意味を、私は測れなかった。
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