忘れないまま恋をした


「お線香、あげてくれる?」

義母に言われて、直哉は静かに仏壇の前に座った。

手を合わせる姿を見た瞬間、

胸の奥がぎゅっとなる。

奪われるんじゃない。

でも、

“交代”みたいな感覚が、ほんの一瞬よぎる。

最低だ。

そんなこと思う自分が。

線香の煙がゆらゆら揺れる。

まるで、時間みに。
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