忘れないまま恋をした
夜風が少し冷たい。

「……大丈夫だった?」

直哉が聞く。

私は少し笑った。

「うん」

小さく息を吐く。

「なんか」

空を見上げる。

「許してもらった気がした」

直哉は何も言わない。

ただ隣を歩いている。

「誰に?」

私は少し考える。

それから小さく笑う。

「わかんない」

でも、

胸の奥にあった重さが

少しだけ軽くなっていた。
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