忘れないまま恋をした
「ちゃんと言っとく」

静かな声。

「奥さんになってくれる?」

時間が止まったみたいだった。

柚の視界が揺れる。

涙が、

ぽろっと落ちた。

直哉が少し慌てる。

「え、泣くとこ?」

柚は首を振る。

笑いながら、

泣いている。

「私」

少し息を吸う。

「ずっと思ってた」

直哉が黙って聞いている。

「直哉、

人生無駄にしてるんじゃないかって」

言葉にすると、

胸が痛い。
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