忘れないまま恋をした
高校2年の冬。

クリスマス前の日曜日。

久しぶりに二人で街へ出た。

ショッピングモールのイルミネーションが光っている。

「寒っ」

颯斗が手をこすった。

「マフラーしてこないからじゃん」

「忘れた」

仕方ないから、私のマフラーを半分貸す。

顔が近い。

少し恥ずかしい。

「カップルっぽいな」

颯斗が笑う。

「カップルでしょ」

「確かに」

そのあと、ゲームセンターに行ったり、

買い物をしたりご飯を食べたり、

本当に普通のデートをした。

特別なことは何もない。

でも、

それがとても幸せだった。

帰り道。

颯斗が少しふらついた。

「大丈夫?」

「ちょっと立ちくらみ」

そう言って笑う。

「最近寝不足なんだよ」

その言葉を、

私は深く考えなかった。
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