忘れないまま恋をした
その日、私は普通に授業を受けていた。

数学の時間。

黒板の文字をぼんやり写していると、スマホが震えた。

休み時間になってから見る。

知らない番号からの着信。

もう一度、震えた。

「もしもし?」

出ると、男の人の声だった。

「佐藤颯斗さんのご家族ですか?」

心臓が跳ねる。

「…いえ、違います」

「大学で倒れて、今救急車で搬送されています」

頭が真っ白になった。

「連絡先の履歴にあったので…」

それ以上、言葉が聞こえない。

「病院はどこですか」

気づけば聞いていた。

電話を切った瞬間、立ち上がる。
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