忘れないまま恋をした


でも、

颯斗はときどき

遠くを見るような顔をすることがあった。

何かを考えているみたいに、

少しだけ寂しそうな顔。

「柚」

「ん?」

「俺に引っ張られるな」

急に言う。

「なにそれ、どういう意味」

少しだけ黙ってから続けた。

「柚の人生だから」

その言葉が、胸に引っかかった。

でも、

深く考えないようにした。

まだ、

大丈夫だと思っていたから。
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