忘れないまま恋をした
ガラッとドアを開ける。

夕暮れの病室。

オレンジ色の光が差し込む中、私は言った。

「ねぇ、結婚しよ」

颯斗がぽかんとする。

「わたし、颯斗と家族になりたい」

迷いはなかった。

“好き”を証明したいわけじゃない。

“残された時間”を、逃したくなかった。

しばらく沈黙して、颯斗は苦笑する。

「…ずるいな」

少し震えた声で。

「俺も、柚と家族になりたい」

その瞬間、怖さよりも安心が勝った。
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