ねぇ、私の事嫌い?
どうぞと言うように椅子を向いている手。
私はその通りに座った。
反対側に無藤先生も座ってくれる。
私の座った席の前にはお茶のようなものが置いてある。
「それ、緑茶よ、気持ちが落ち着くまでなるべく一緒にいるから。飲まなくってもいいから。」
無藤先生は私がそんなに落ち着いてないことなどわかっていたのだろう。
無藤先生は、お母さんタイプの先生。女性の先生だ。面倒見が良さそうで声色も優しい。
なんだか全てを肯定してくれているような落ち着きがある。
先生は1回外に出た。
私は渡してくれた緑茶に口を付けてみた。
そのお茶は温かくって、安心できた。
保健室に来たのは小一以来。
鬼ごっこをしていて、押された拍子に派手に転んでしまったのだ。
その時は泣きたくなったけれど、血が出てくる膝を抑えて。涙を必死に堪えて保健室まで来た。
その時に無藤先生はいなかった。
でも、6年生になった今思った。もう少し保健室に行っても良かったかもしれないと。
無藤先生が帰ってきた。その手にはパソコンが。
何か仕事でもするのだろう。
「ひま?何か本でも読む?図書室から借りてくるよ?」
「えっと…いいですか?」
「わかったじゃあ、図書の先生に持ってきてもらうね。」