営業部の穂積先輩は今日も不機嫌で困る
そんなことを考えていると、安藤さんがにやっと笑った。
「……残念だった?」
「え?」
何を言われているのかわからず眉を寄せる。
「穂積先輩が社内恋愛否定派で」
「いえっ、まさか! 残念も何も、そんなこと考えたこともないので」
毎日あそこまで詰められていて、恋愛感情なんて芽生えるわけがない。
「あれ? そうなんだ」
「なんで意外そうに言うんですか?」
「いや……穂積先輩、結構鮎川さんのこと、気に入ってるように見えたから」
「……は!?」
びっくりして、声が裏返ってしまった。
「ないです。全然それはないと思います」
「え、わたしもそれちょっと思ってた」
「凜まで何言ってるの!?」
「その慌てぶりがちょっと怪しいよね」
「ええっ?」
「たしかに。鮎川さん、動揺しすぎ」
「違います! 本当に怖い先輩ってだけですから!」
両手をぶんぶん振りながら強く否定していると、「おい」と後ろから声を掛けられた。
「お前らさっきからうるさいけど、仕事は?」
「ひっ」
振り返ると、穂積先輩が不機嫌な顔で立っていた。
「ひってなんだよ、人を化け物みたいに」
「化け物の方が怖くないかも……いえ、なんでもありません」
「安藤、ヴィスタ・グランデホテルの件、よくやったな」
穂積先輩は、わたしを無視して安藤さんに声を掛ける。
「……っ。ありがとうございます。先輩がロープレに付き合ってくれたおかげです!」
「いや、お前の実力だよ。おめでとう」
……なんだ。褒めるときはちゃんと褒めるんだ。
ちょっと意外に感じていると、思い切り目が合い、睨まれた。
「それで? 鮎川には無駄口を叩く余裕があるってことだな。なんなら今すぐプレテストを始めるか」
「いえっ。もう少し時間をください」
「いや、だめだ。十分後にミーティングルームに来い」
「そ、そんな……」
「今この時点で結果が出せないなら、その程度ってことだ」
……ひ、ひどすぎる。
思わず縋るように安藤さんの顔を見ると、彼はそっと目を伏せて、ゆっくりと首を横に振った。
「……残念だった?」
「え?」
何を言われているのかわからず眉を寄せる。
「穂積先輩が社内恋愛否定派で」
「いえっ、まさか! 残念も何も、そんなこと考えたこともないので」
毎日あそこまで詰められていて、恋愛感情なんて芽生えるわけがない。
「あれ? そうなんだ」
「なんで意外そうに言うんですか?」
「いや……穂積先輩、結構鮎川さんのこと、気に入ってるように見えたから」
「……は!?」
びっくりして、声が裏返ってしまった。
「ないです。全然それはないと思います」
「え、わたしもそれちょっと思ってた」
「凜まで何言ってるの!?」
「その慌てぶりがちょっと怪しいよね」
「ええっ?」
「たしかに。鮎川さん、動揺しすぎ」
「違います! 本当に怖い先輩ってだけですから!」
両手をぶんぶん振りながら強く否定していると、「おい」と後ろから声を掛けられた。
「お前らさっきからうるさいけど、仕事は?」
「ひっ」
振り返ると、穂積先輩が不機嫌な顔で立っていた。
「ひってなんだよ、人を化け物みたいに」
「化け物の方が怖くないかも……いえ、なんでもありません」
「安藤、ヴィスタ・グランデホテルの件、よくやったな」
穂積先輩は、わたしを無視して安藤さんに声を掛ける。
「……っ。ありがとうございます。先輩がロープレに付き合ってくれたおかげです!」
「いや、お前の実力だよ。おめでとう」
……なんだ。褒めるときはちゃんと褒めるんだ。
ちょっと意外に感じていると、思い切り目が合い、睨まれた。
「それで? 鮎川には無駄口を叩く余裕があるってことだな。なんなら今すぐプレテストを始めるか」
「いえっ。もう少し時間をください」
「いや、だめだ。十分後にミーティングルームに来い」
「そ、そんな……」
「今この時点で結果が出せないなら、その程度ってことだ」
……ひ、ひどすぎる。
思わず縋るように安藤さんの顔を見ると、彼はそっと目を伏せて、ゆっくりと首を横に振った。