冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~

死体とドラゴン

一刻のち、ラキュウス辺境伯の指示によって使者が放たれた。
ディート地区を目指し、夜の深い闇に紛れ馬を走らせる姿は直ぐに見えなくなり、それを見送るヒストリアは扉の前で両手を握り締め無事を祈った。

ラキュウス辺境伯からの書状と共に使者に預けた手紙。
それをベリルがどのように受け取るかは分からないが、きっと彼なら見捨てたりしない。
そう信じたい。



「――ユリアンと言ったな。君には重要な役目を任せることになるが、頼むぞ」

明朝、ラキュウス辺境伯が私兵を編成を整え、出立を前に馬上から見下ろすとユリアンに言った。

時間が限られている今回の作戦ではユリアンが重要な要となる。
移動距離にかかる時間を短縮するため、ドラゴンに姿を変え空輸で証拠を運ぶのだ。

「はい。ルーメン達を王太子殿下のところへ届けたら、すぐにラキュウス様の元に戻ります」

ユリアンは恭しく頭を下げ答えた。
その声音には強い使命感のようなものを感じさせられる。

ラキュウス辺境伯はユリアンの姿に深く頷くと胸元から鷹笛のようなものを取り出し吹いた。
すると一羽の鷹が姿を現し、辺境伯の腕に降り立った。

「彼女の名はステラ。伝令係だ。これまでもルーメンとの連絡役として働いてくれた。今回も必要時にはステラで共有することもあるだろう」

高い声で鳴音響かせ、ラキュウス辺境伯が腕を伸ばせばステラは再び飛び立つ。
そして高い位置から大きく円を描くようにヒストリア達の頭上を旋回していた。

「我らに聖女の加護があらんことを……さぁ、国家簒奪を目論む者に正しい裁きを与えるぞ」

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