冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~
――――ラキュウスは襲撃前の会話を思い出していた。

「仮定の話ではあるは……ベリルの推測が事実だとした場合、魔法使いが正体を隠してこの神殿にいるという事は、まだ神殿側に浄化石を渡すつもりがない。そう考えて良いだろう」

「あぁ、この神殿に加勢しているとは思えない立ち回りだからな」

ラキュウスらが辿り着くまでに浄化石を狙われたという情報は、敵の魔法使いが神殿と一枚岩でないことを示す、実に不可解なものだった。

本当に手に入れるつもりならば騎士でなく、魔法使いが前に出れば良い。

性格からして争い合う様を楽しんでいただけかもしれないが、あえて力を使わず様子見していたとも捉えられる。なにより聖騎士らは傭兵として襲撃者の男を扱っていたことこそ後者と判断するに足りる。

納得するベリルの傍らで元神殿騎士の男、ゼノが頷いた。

「やはり、明日が婚礼の儀というのにまだここに居るのは、神殿に対して何か探りを入れているのでしょうか……」

冷静に告げる言葉はラキュウスの考えと同じものだった。

「それより、その魔法使いどうやって王都まで戻るつもりなんだ?戻るつもりないのか……それともユリアンみたいに何か移動手段があるのかな」

唐突にスレイが問いを投げ、ベリルが眉を顰めた。

明日は婚礼の儀。
確かに今ここに居るとなれば帰る手立てはどうするつもりなのか。

スレイの言う通り、そもそも立ち会うつもりがない、あるいはユリアンと同じように高速移動が可能なのか。

「手段は分からないが、なにか移動手段があるのだろう。婚礼の儀を見逃すような性格ではない」

どちらにせよ、潜伏しているとみられる魔法使いを引き付け、真意を見極める必要がある。

もっと情報が必要だ。
目的を知らなければ断罪に支障をきたす可能性があるのだ。

そして可能なら辺境に留まらせたい。




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