冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~
「……ちょっと!その髪はなに?と言うか平民を連れて来るって、なにするつもりなのよ」
問い詰めるような聞き方になったのは、魔法使いが朝食の片づけを終えたあとローブを羽織るや否や、村人を連れてくると言って扉に背を向けたからだ。それも一瞬のうちに髪色を燃えるような赤へと変えていたためである。
説明もないまま平民を迎えに出ようとするので、ヒストリアは仔細を求め引き留めていたのだ。
今朝がた「家を建てる」と宣言していたことは覚えていたが、ヒストリアはてっきり魔法を使って造り上げるものだと考えていた。
加えて、そもそも今や侯爵令嬢という肩書も大聖女の印も失って平民落ちした身といえど、彼らと同じ身分の人間となったことを受け入れることは難しく、魔法使いが村人と関わろうとすることにいい気がしなかったのだ。
それに対し表情の乏しい魔法使いは相変わらず彫刻のような顔でヒストリアを見遣った。
「昨日、近隣の村へ行って家を建てるための相談をしていてな。大工仕事に長けた者を紹介してもらえたから彼に現場を見てもらうことにした。気になるならついて来ても構わないが、そんな気にはならないだろう?君はここに居ればいいが、必要があれば紹介する事があるだろうからそのつもりでいてくれ」
滑らかに説明されるが、それは言葉は求めていた答えと異なる。これまで短気だと陰口を叩かれがちだったヒストリアの声は無意識にぴりついていたが仕方がない。ヒストリアの聖力を感知し、瘴気の研究などと常人の領域を超えたことに手を出すなど、妙に頭が回るところが見受けられる男なので質問の意図は容易く伝わるものだと思い込んでいたのだ。
「……そうじゃなくて。私が聞きたいのは、魔法で家を建てるんじゃなかったのってことよ!」
「出来ないこともないが、そうすると怪しまれるからな」
「誰に怪しまれるって言うのよ」
「この地区の者達にだ」
ここまで言って魔法使いは「なるほど」と独り言ちたあと、一呼吸おいて一冊の本を荷袋から取り出した。
問い詰めるような聞き方になったのは、魔法使いが朝食の片づけを終えたあとローブを羽織るや否や、村人を連れてくると言って扉に背を向けたからだ。それも一瞬のうちに髪色を燃えるような赤へと変えていたためである。
説明もないまま平民を迎えに出ようとするので、ヒストリアは仔細を求め引き留めていたのだ。
今朝がた「家を建てる」と宣言していたことは覚えていたが、ヒストリアはてっきり魔法を使って造り上げるものだと考えていた。
加えて、そもそも今や侯爵令嬢という肩書も大聖女の印も失って平民落ちした身といえど、彼らと同じ身分の人間となったことを受け入れることは難しく、魔法使いが村人と関わろうとすることにいい気がしなかったのだ。
それに対し表情の乏しい魔法使いは相変わらず彫刻のような顔でヒストリアを見遣った。
「昨日、近隣の村へ行って家を建てるための相談をしていてな。大工仕事に長けた者を紹介してもらえたから彼に現場を見てもらうことにした。気になるならついて来ても構わないが、そんな気にはならないだろう?君はここに居ればいいが、必要があれば紹介する事があるだろうからそのつもりでいてくれ」
滑らかに説明されるが、それは言葉は求めていた答えと異なる。これまで短気だと陰口を叩かれがちだったヒストリアの声は無意識にぴりついていたが仕方がない。ヒストリアの聖力を感知し、瘴気の研究などと常人の領域を超えたことに手を出すなど、妙に頭が回るところが見受けられる男なので質問の意図は容易く伝わるものだと思い込んでいたのだ。
「……そうじゃなくて。私が聞きたいのは、魔法で家を建てるんじゃなかったのってことよ!」
「出来ないこともないが、そうすると怪しまれるからな」
「誰に怪しまれるって言うのよ」
「この地区の者達にだ」
ここまで言って魔法使いは「なるほど」と独り言ちたあと、一呼吸おいて一冊の本を荷袋から取り出した。