冤罪で聖印を奪われた令嬢、辺境で本物の大聖女になる ~傲慢令嬢ヒストリアの救済証明~
「俺のような存在に対する知識が浅いことは想像していたが、予想をはるかに上回っていたようだな。君は平民を嫌っているが魔法使いはそれ以上に嫌われ迫害されている。もし一瞬のうちに家が出現していると普通は警戒されるものだ」
そう言って手渡されたのは聖書で、『Luminous 聖女の起原』と記されていた。
「聖書?読んだことあるわ。馬鹿にしないでちょうだい」
魔法使いに聖書の知識がないと疑われているような気がしてヒストリアは声を潜めた。
シルドバーニュに住むものなら誰もが見聞きしたことのある書物であり、聖書を買えない人間でも教会に行けば説教を聞くことができる。さらに子女であれば三歳の洗礼の儀で必ず聖書の朗読が行われ、当然貴族になれば平民以上に教育の過程に組み込まれるほど聖書は身近な存在だ。
さらに大聖女でもあるヒストリアは聖書を手に取る機会は多かった。というより無理やり覚えさせられた。
「第一章を覚えているか?」
「当たり前じゃない。魔法使いによって異界の門が開かれて、瘴気が地上に蔓延したんでしょう?それに対抗できるのは聖力と呼ばれる特別な力を持つ乙女。違うの?」
「いや、正しい認識だ。だが門は魔法使いによって開かれたと記されているだろう。魔法使いは害悪だと考えたことは?」
「どうして?門を開けたのが魔法使いだったってだけでしょう。例えばその聖書に、王様が開いたって書かれていたら、未来永劫王様を名乗る人は迫害されなきゃいけないの?あんたが私の大聖女の印を記号って言うなら、それこそ聖書の内容だってただの記号だわ」
自らの考えを口にすると、魔法使いは黄金色の瞳を瞠目させたあと、無機質だった面持ちが一瞬だが血色を帯びたかのように柔らかに眦を下げた。
「そう考えるのか……初めてだ」
そう言って手渡されたのは聖書で、『Luminous 聖女の起原』と記されていた。
「聖書?読んだことあるわ。馬鹿にしないでちょうだい」
魔法使いに聖書の知識がないと疑われているような気がしてヒストリアは声を潜めた。
シルドバーニュに住むものなら誰もが見聞きしたことのある書物であり、聖書を買えない人間でも教会に行けば説教を聞くことができる。さらに子女であれば三歳の洗礼の儀で必ず聖書の朗読が行われ、当然貴族になれば平民以上に教育の過程に組み込まれるほど聖書は身近な存在だ。
さらに大聖女でもあるヒストリアは聖書を手に取る機会は多かった。というより無理やり覚えさせられた。
「第一章を覚えているか?」
「当たり前じゃない。魔法使いによって異界の門が開かれて、瘴気が地上に蔓延したんでしょう?それに対抗できるのは聖力と呼ばれる特別な力を持つ乙女。違うの?」
「いや、正しい認識だ。だが門は魔法使いによって開かれたと記されているだろう。魔法使いは害悪だと考えたことは?」
「どうして?門を開けたのが魔法使いだったってだけでしょう。例えばその聖書に、王様が開いたって書かれていたら、未来永劫王様を名乗る人は迫害されなきゃいけないの?あんたが私の大聖女の印を記号って言うなら、それこそ聖書の内容だってただの記号だわ」
自らの考えを口にすると、魔法使いは黄金色の瞳を瞠目させたあと、無機質だった面持ちが一瞬だが血色を帯びたかのように柔らかに眦を下げた。
「そう考えるのか……初めてだ」