司くんに愛されすぎてる。

式典だからかキチンと着こなしは、その華やかな顔立ちに似合ってない。


入場行進中なのをいいことに、大注目を浴びてるのにまったく気にしてなさそう。
なぜか視線はキョロキョロと誰かを探しているみたいだった。


(やっぱり、知らない人)



あんなかっこいい人、一度見たらきっと忘れないもん。

なんて、無意識にその姿を目で追ってるとバチッと目が合ってしまった。


瞬間、司くんの瞳がふっと柔らかく垂れ下がって、嬉しそうな笑顔を見せる。


……あれ?私あの笑顔、見覚えがある。



“かなちゃんっだーいすき!”


頭の中に高くてへにゃっとした小さい子の声が再生される。

それと一緒に、ぼやぼやっともやがかった男の子の姿も浮かび上がってきた。



「……わたし、やっぱりあの人知ってるかも」



ぽつり、思わず独り言。

それを和樹がずっと見ていたのにも気づかないくらい。

新入生の整列の中に司くんが消えてくまで、司くんのことをじっと見ていた。

< 9 / 27 >

この作品をシェア

pagetop