司くんに愛されすぎてる。
式典だからかキチンと着こなしは、その華やかな顔立ちに似合ってない。
入場行進中なのをいいことに、大注目を浴びてるのにまったく気にしてなさそう。
なぜか視線はキョロキョロと誰かを探しているみたいだった。
(やっぱり、知らない人)
あんなかっこいい人、一度見たらきっと忘れないもん。
なんて、無意識にその姿を目で追ってるとバチッと目が合ってしまった。
瞬間、司くんの瞳がふっと柔らかく垂れ下がって、嬉しそうな笑顔を見せる。
……あれ?私あの笑顔、見覚えがある。
“かなちゃんっだーいすき!”
頭の中に高くてへにゃっとした小さい子の声が再生される。
それと一緒に、ぼやぼやっともやがかった男の子の姿も浮かび上がってきた。
「……わたし、やっぱりあの人知ってるかも」
ぽつり、思わず独り言。
それを和樹がずっと見ていたのにも気づかないくらい。
新入生の整列の中に司くんが消えてくまで、司くんのことをじっと見ていた。