女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
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雪音は久しぶりに親友の沙友里とバー、『ライムライト』で会った。
雪音はあまり飲み屋が好きではないが、このライムライトは顧客の年齢層が高く落ち着いて楽しめるからと、沙友里がお勧めしてくれた行きつけの店だ。オフィスビル街の近くにあるので比較的仕事帰りの社会人が多く、スーツ姿のサラリーマンがゆったりとお酒を楽しんでいる。
沙友里は小学校からの友人だ。良原家の子供となり、小学一年生の秋という中途半端な時期に転入した雪音に、当時クラス委員だった沙友里が積極的に話しかけてくれ、依頼仲良くしている。
中学、高校も同じで、大学は別々だったがその間も頻繁に会いずっと付き合いは続いていた。大学卒業後、沙友里は広告会社に就職すると営業職となり、日々日本中を飛び回っている。明るくてとても積極的。はっきりと意見を言う性格で、控えめな雪音とは正反対の性格だが、何故かとても気が合って一緒にいるのは楽しい。雪音は沙友里の性格を眩しく感じるし生き様を尊敬している。こんなふうに生きられたらと、憧れる存在だ。
今日は家族や将来について考えすぎて疲れてしまった雪音が、息抜きのために沙友里を誘ったのだ。
「あのね、私、家族が欲しいなって思ってて……」
病室での両親の話を聞いてしまってからかれこれ一週間。ずっと悩んでいて、自分はどうしたいのか、考えを整理するためにも沙友里に相談をすることにした。
「え⁈! 雪音結婚するの⁈」