女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
「違うよ。家庭を持って孫でもできたらいいのになって父と母が話しているのを聞いちゃったってだけなの。でも、私もいつかはしたいなって思ってたから……」
少し前に秀夫が倒れたことから、両親が雪音を心配して結婚を望んでいることを話し相談すると、沙友里は開きっぱなしだった口をゆっくり閉じて頷いた。
「雪音からそういう話聞くの初めてでびっくりしたわ。だって、男に興味ないどころか苦手すぎて卒倒してたもんね。今だって、男性恐怖症は治ってないでしょ?」
「うん」
沙友里は唯一、雪音が養子であり男性が苦手事情を知っているが、過去の虐待については知らない。それでも男性と会話をするだけでも冷や汗をかいている姿をずっと見ているからか、本当に結婚などできるのかと疑いの目を向けた。
「父や母を安心させてあげたい気持ちはあるの。でも、お付き合いしたこともないからどうしたらいいのかもわからなくて」
「そうねぇ」
薄暗い店内で、沙友里はしばらく考えながら、氷の入ったカクテルグラスを揺らした。仕事で嫌なことがあったらしく、いつもよりハイペースだ。一時間ですでに二杯目を飲み終えようとしていて顔が赤い。
「今時、結婚だけが人生じゃないと思うけど。そうだよね〜雪音のご両親って、すっごい子供好きだもんね」
小学生の頃、内向的でなかなか友達をつくれない雪音の為に、両親は家にクラスメイトを呼んでパーティーやお泊まり会を頻繁に開催してくれていた。
幼稚園教諭だった真弓はイベント企画が得意だった。おかげでイベントは好評で、定期的にたくさんの友人が家に遊びに来るようになり、雪音も友達がたくさんできて環境がかわった寂しさを感じなくなった。
沙友里はお泊まり会に一番多く参加してくれた友人だと思う。
「孫を抱きたいって言葉、けっこうずしっとくるねぇ。プレッシャーになっちゃてない?」
「重荷なんてことはないかな。喜ばせてあげたいし期待に応えたいって思ってるよ。でも、気持ちは焦るばっかりでどうしたらいいかわからなくて。今回父が倒れて、いつどうなってもおかしくない歳なんだなって思ったら、ふたりが元気なうちにそういう姿を見せて親孝行したいなって」
「そっかぁ」
なんとかして克服したいという前向きな気持ちは昔から伝えてきたが、ことごとく失敗している雪音を見てきているせいか、沙友里は困り顔で呟いた。
少し前に秀夫が倒れたことから、両親が雪音を心配して結婚を望んでいることを話し相談すると、沙友里は開きっぱなしだった口をゆっくり閉じて頷いた。
「雪音からそういう話聞くの初めてでびっくりしたわ。だって、男に興味ないどころか苦手すぎて卒倒してたもんね。今だって、男性恐怖症は治ってないでしょ?」
「うん」
沙友里は唯一、雪音が養子であり男性が苦手事情を知っているが、過去の虐待については知らない。それでも男性と会話をするだけでも冷や汗をかいている姿をずっと見ているからか、本当に結婚などできるのかと疑いの目を向けた。
「父や母を安心させてあげたい気持ちはあるの。でも、お付き合いしたこともないからどうしたらいいのかもわからなくて」
「そうねぇ」
薄暗い店内で、沙友里はしばらく考えながら、氷の入ったカクテルグラスを揺らした。仕事で嫌なことがあったらしく、いつもよりハイペースだ。一時間ですでに二杯目を飲み終えようとしていて顔が赤い。
「今時、結婚だけが人生じゃないと思うけど。そうだよね〜雪音のご両親って、すっごい子供好きだもんね」
小学生の頃、内向的でなかなか友達をつくれない雪音の為に、両親は家にクラスメイトを呼んでパーティーやお泊まり会を頻繁に開催してくれていた。
幼稚園教諭だった真弓はイベント企画が得意だった。おかげでイベントは好評で、定期的にたくさんの友人が家に遊びに来るようになり、雪音も友達がたくさんできて環境がかわった寂しさを感じなくなった。
沙友里はお泊まり会に一番多く参加してくれた友人だと思う。
「孫を抱きたいって言葉、けっこうずしっとくるねぇ。プレッシャーになっちゃてない?」
「重荷なんてことはないかな。喜ばせてあげたいし期待に応えたいって思ってるよ。でも、気持ちは焦るばっかりでどうしたらいいかわからなくて。今回父が倒れて、いつどうなってもおかしくない歳なんだなって思ったら、ふたりが元気なうちにそういう姿を見せて親孝行したいなって」
「そっかぁ」
なんとかして克服したいという前向きな気持ちは昔から伝えてきたが、ことごとく失敗している雪音を見てきているせいか、沙友里は困り顔で呟いた。