女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
もちろんイヤイヤなどではなく、自分がふたりのために出来ることをやりたいからだ。こちらの事情も知らずに非難されるのは、たとえ彼がどんなに素晴らしい人間だろうと釈然としなかった。
「連絡先を聞いたのは、お礼をしたかったからです」
「どうだか」
「私は男性が苦手でこれまで一度も遊んだことなんてありません!」
思わず言い返してから、はっとする。男性に対してこんな風に憤り、反論したことがあっただろうか。いつもなら反抗したら殴られるのではないかという恐怖で言い返せなどしないのに。
匠は振り返ったままの体制でただじっと見てきた。
「す、すみません。でもなんとか父に幸せになった姿を見せて安心させたいと思っただけなんです。孫を望んでいるのに、わたしは男性と付き合うことすらままならなくて……」
取り繕うように言い訳をするが、その途中で諦めて言葉を止めて頭を下げた。
「ごめんなさい。私のことはどう思っていただいてもいいですけど、父と母への誤解だけは解きたかったんです」
気分が落ち込みため息が出た。
次から、病室で会ったら気まずくなりそうだ。
匠は秀夫の娘であり、患者の家族という理由で雪音に優しく接してくれていただけだろう。これから会うたびに蔑んだ視線を送られるのは堪えるが、これも自分で招いた事態だから仕方がない。
会釈をして踵を返し、帰ろうとすると突然匠に腕を掴まれた。
「待て」
「いやっ……触らないで!」
雪音が咄嗟にそれを振り払うと、匠は「へえ」と驚いた。
「男嫌いっていうのは本当そうだな」
「そ、そんなこと、嘘をついてどうするんですか!」
触れられた部分を守るように引き寄せる。
(嘘をついていないか確かめたということ?)
「これまで言い寄ってきた女は嘘つきで、媚びてばかりだったから」
匠は辟易したように言う。確かに院内でも彼とお近づきになりたい女性を山ほど見ていて、それにうんざりしていることも知っていた。きっと職場だけに留まらずプライベートでも大変な思いをしているのだろう。
だからと言って……。
「試すようなことをして悪かった」
あまりの言われように憤っていたが、さらりと謝罪され燃え上がりそうだった気持ちはすぐに鎮火する。
「いえ、こちらこそ失礼な態度をとりました」
雪音も頭を下げて謝ると、匠がこちらをじっと見た。
「あの……?」
「連絡先を聞いたのは、お礼をしたかったからです」
「どうだか」
「私は男性が苦手でこれまで一度も遊んだことなんてありません!」
思わず言い返してから、はっとする。男性に対してこんな風に憤り、反論したことがあっただろうか。いつもなら反抗したら殴られるのではないかという恐怖で言い返せなどしないのに。
匠は振り返ったままの体制でただじっと見てきた。
「す、すみません。でもなんとか父に幸せになった姿を見せて安心させたいと思っただけなんです。孫を望んでいるのに、わたしは男性と付き合うことすらままならなくて……」
取り繕うように言い訳をするが、その途中で諦めて言葉を止めて頭を下げた。
「ごめんなさい。私のことはどう思っていただいてもいいですけど、父と母への誤解だけは解きたかったんです」
気分が落ち込みため息が出た。
次から、病室で会ったら気まずくなりそうだ。
匠は秀夫の娘であり、患者の家族という理由で雪音に優しく接してくれていただけだろう。これから会うたびに蔑んだ視線を送られるのは堪えるが、これも自分で招いた事態だから仕方がない。
会釈をして踵を返し、帰ろうとすると突然匠に腕を掴まれた。
「待て」
「いやっ……触らないで!」
雪音が咄嗟にそれを振り払うと、匠は「へえ」と驚いた。
「男嫌いっていうのは本当そうだな」
「そ、そんなこと、嘘をついてどうするんですか!」
触れられた部分を守るように引き寄せる。
(嘘をついていないか確かめたということ?)
「これまで言い寄ってきた女は嘘つきで、媚びてばかりだったから」
匠は辟易したように言う。確かに院内でも彼とお近づきになりたい女性を山ほど見ていて、それにうんざりしていることも知っていた。きっと職場だけに留まらずプライベートでも大変な思いをしているのだろう。
だからと言って……。
「試すようなことをして悪かった」
あまりの言われように憤っていたが、さらりと謝罪され燃え上がりそうだった気持ちはすぐに鎮火する。
「いえ、こちらこそ失礼な態度をとりました」
雪音も頭を下げて謝ると、匠がこちらをじっと見た。
「あの……?」