女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
同時にチリンチリンと自転車のベルの音がし、さっきまでふたりが立っていた場所を自転車がものすごいスピードで駆け抜けた。
興奮して話していたらいつのまにか歩道の邪魔になるところまで出ていてしまったようだ。
「いいか、叫ぶなよ」
雪音がコクコクと頷くと、匠がそっと手を離す。
解放されてほうっと息をついた。まだ心臓がバクバクとしている。危険回避をしてくれたことは感謝するが、やはり急に触れられるというのが一番苦手だ。
「そんなに男に免疫なくて、結婚なんてできるのか? 本当にする気ある?」
距離をとった雪音に匠は呆れた視線をよこす。
「だ、だからどうにか克服したくて会話を楽しむところから練習していたんです。あんな、女性を騙してどうにかしようと考えている人がいるのは知らずに警戒心が足りなかったのは反省していますが……」
「それなら尚更、俺で練習すればいいだろ。あんな偽医者より身元も明らかでよっぽど安全だ」
「確かに、それはそうですけど……」
もう少し柔らかく会話をしてくれる人の方が緊張しないのに……。
「決まりだな。連絡先」
「えっ」
「知りたかったんだろ? ほらスマホをだして。手が凍えるから早く」
二月はまだまだ寒く、院内のエースと呼ばれる医師に風邪を引かれては困る。寒いと言われ、慌ててスマホを取り出した。
メッセージアプリで交換を終えると、本棚の写真のようなアイコンで匠の名前が追加された。
「これは本棚……レコードですか?」
本にしてはいひとつひとつが薄い。
「映画のパンフレット。子供の時から集めているんだ」
写真をアップにして見せてもらうと、いくつか正面を向けて飾ってあり、小学生の時に観たことがある映画のパンフレットが並んでいた。
小さな映画館でしか上映していなかったタイトルも見つけ興奮する。
「深沢先生も映画お好きなんですか? わたしもすごく好きでーー」
これまでのことを忘れ笑顔で聞き返すとぷっと噴き出される。
「想像よりお天気屋なんだな。さっきは困り果ててたし、その前は怒ってなかったか?」
「あ……」
はた、と口を閉じる。
確かに、なんて現金なんだろう。いつのまにか、まるで沙友里といる時のようにリラックスして会話ができていた。
沙友里からは、本当は面白いのだからもっと自分を出していけと何度もアドバイスを貰っていたけれど、無意識にそれか出来ていたらしい。
興奮して話していたらいつのまにか歩道の邪魔になるところまで出ていてしまったようだ。
「いいか、叫ぶなよ」
雪音がコクコクと頷くと、匠がそっと手を離す。
解放されてほうっと息をついた。まだ心臓がバクバクとしている。危険回避をしてくれたことは感謝するが、やはり急に触れられるというのが一番苦手だ。
「そんなに男に免疫なくて、結婚なんてできるのか? 本当にする気ある?」
距離をとった雪音に匠は呆れた視線をよこす。
「だ、だからどうにか克服したくて会話を楽しむところから練習していたんです。あんな、女性を騙してどうにかしようと考えている人がいるのは知らずに警戒心が足りなかったのは反省していますが……」
「それなら尚更、俺で練習すればいいだろ。あんな偽医者より身元も明らかでよっぽど安全だ」
「確かに、それはそうですけど……」
もう少し柔らかく会話をしてくれる人の方が緊張しないのに……。
「決まりだな。連絡先」
「えっ」
「知りたかったんだろ? ほらスマホをだして。手が凍えるから早く」
二月はまだまだ寒く、院内のエースと呼ばれる医師に風邪を引かれては困る。寒いと言われ、慌ててスマホを取り出した。
メッセージアプリで交換を終えると、本棚の写真のようなアイコンで匠の名前が追加された。
「これは本棚……レコードですか?」
本にしてはいひとつひとつが薄い。
「映画のパンフレット。子供の時から集めているんだ」
写真をアップにして見せてもらうと、いくつか正面を向けて飾ってあり、小学生の時に観たことがある映画のパンフレットが並んでいた。
小さな映画館でしか上映していなかったタイトルも見つけ興奮する。
「深沢先生も映画お好きなんですか? わたしもすごく好きでーー」
これまでのことを忘れ笑顔で聞き返すとぷっと噴き出される。
「想像よりお天気屋なんだな。さっきは困り果ててたし、その前は怒ってなかったか?」
「あ……」
はた、と口を閉じる。
確かに、なんて現金なんだろう。いつのまにか、まるで沙友里といる時のようにリラックスして会話ができていた。
沙友里からは、本当は面白いのだからもっと自分を出していけと何度もアドバイスを貰っていたけれど、無意識にそれか出来ていたらしい。