女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
情緒不安定と思われないように節度は守らなければ。
「すみません。図々しすぎました」
背筋を伸ばして真面目な顔で言うと、何がおかしいのか匠は肩を振るわせた。
「別にいい。どうせ付き合うなら明るい方がいいしな」
匠は言いながら片手をあげちょうど通りかかったちタクシーを止めた。
「え……」
雪音をタクシーに押し込めると、運転手に現金を渡す。
何度も来たことがあったので住所を覚えていたらしい、雪音の自宅の住所を運転手に伝えると、雪音には「連絡する」と言い捨て踵を返した。
「あ、……深沢先生!」
パタンとドアが閉められると、タクシーの運転手は忙しいと言わんばかりにすぐに出発をした。
あっという間に匠の背中は遠のく。
慌ててシートベルトをすると、匠を追いかけるのは諦めてシートにズズっと埋もれた。
「なんだかすごく疲れた……」
(わたしが深沢先生と恋人? 結婚?)
いまだに彼の話が理解できない。
深沢匠の存在は彼が医師国家試験に受かり初任者研修を始めた時――二十六歳の頃から知っているが、そこから約十年余り時間があったのにこれほど話したのは実は今日が初めてだ。
(そういえば、これまでの誰よりも緊張せずに会話ができていた気がする)
車窓から流れる街並みを眺めながら、どうしてだろうとひとり考え込む。
(病室で会う機会が多かったから……かな? それとも元から顔見知りだったから?)
しかし一年毎日のように顔を合わせていた学校の担任でさえ恐ろしさはなくならなかった。
色々な理由を考えたがどれも違うような気がした。
「すみません。図々しすぎました」
背筋を伸ばして真面目な顔で言うと、何がおかしいのか匠は肩を振るわせた。
「別にいい。どうせ付き合うなら明るい方がいいしな」
匠は言いながら片手をあげちょうど通りかかったちタクシーを止めた。
「え……」
雪音をタクシーに押し込めると、運転手に現金を渡す。
何度も来たことがあったので住所を覚えていたらしい、雪音の自宅の住所を運転手に伝えると、雪音には「連絡する」と言い捨て踵を返した。
「あ、……深沢先生!」
パタンとドアが閉められると、タクシーの運転手は忙しいと言わんばかりにすぐに出発をした。
あっという間に匠の背中は遠のく。
慌ててシートベルトをすると、匠を追いかけるのは諦めてシートにズズっと埋もれた。
「なんだかすごく疲れた……」
(わたしが深沢先生と恋人? 結婚?)
いまだに彼の話が理解できない。
深沢匠の存在は彼が医師国家試験に受かり初任者研修を始めた時――二十六歳の頃から知っているが、そこから約十年余り時間があったのにこれほど話したのは実は今日が初めてだ。
(そういえば、これまでの誰よりも緊張せずに会話ができていた気がする)
車窓から流れる街並みを眺めながら、どうしてだろうとひとり考え込む。
(病室で会う機会が多かったから……かな? それとも元から顔見知りだったから?)
しかし一年毎日のように顔を合わせていた学校の担任でさえ恐ろしさはなくならなかった。
色々な理由を考えたがどれも違うような気がした。