女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
悪あがきしても無理だと悟り、雪音はこくんと頷いた。
展望レストランへ行くと、予約してあったようで景色の良い個室に案内された。
「良原くんの娘さんじゃないか」
先に待っていた院長は目を丸くし、娘には「あんたなんなの?」と言わんばかりの目で睨まれる。装飾され尖ったネイルが今は恐怖に感じた。
「今日はお誘いありがとうございます。相談もなく申し訳ありません。せっかくお時間いただいたので、前々から、ご報告したかった相手を連れてきたんです。院長に最初にご紹介させていただきたかったので」
牽制と思われないようにさりげなく相手を立てているところはさすがだ。
「こんにちは。突然お邪魔して申し訳ありません」
雪音も挨拶をした。
「いや、いいよ。久しぶりだね。良原くんは順調そうだね?」
「おかげさまで。深沢先生も来週にも退院できると言ってくださって」
院長は秀夫を通じて何度か挨拶をしたことがあるが、病院全体を成長させようと尽力しているのが伝わり、厳しさの中にも情がある方だ。
院長に座るように促され、恐縮しながら腰掛ける。
「そういえば執刀は深沢くんだったな」
「はい。初任者研修からお世話になっていた先生なので緊張しましたが、無事に終えることができてほっとしています」
「深沢くんなら尚更安心して任せられるな」
「はい。精神的にも大変助けていただきました」
秀夫が亡くなってしまうのではと泣くことしか出来なかったあの時、匠の執刀と聞いて希望が膨らんだのは確かだ。
雪音が答えると、院長は満足げにうんうんと頷いた。
「実は、かねてより雪音さんと交際しておりまして、この度結婚が決まりましたのでそのご報告です」
匠が雪音の肩を抱きにこやかに本題に入る。
娘が唖然とした顔で口を大きく開いた。雪音も結婚というワードにぎょっとする。
「うそ! 聞いてないわそんなの! 匠先生ずっと彼女居ないって言ってたじゃない!」
娘はすぐに抗議するが、院長はにこやかにそれを流した。
「ふたりがそんな関係とは知らなかったよ」
そう。雪音だって聞いていない。今回だけ恋人のふりをするって話ではなかったか?
「職場では内密にしていたんです。僕も彼女も騒がれるのが苦手なので」
「付き合いはいつからなんだい?」
展望レストランへ行くと、予約してあったようで景色の良い個室に案内された。
「良原くんの娘さんじゃないか」
先に待っていた院長は目を丸くし、娘には「あんたなんなの?」と言わんばかりの目で睨まれる。装飾され尖ったネイルが今は恐怖に感じた。
「今日はお誘いありがとうございます。相談もなく申し訳ありません。せっかくお時間いただいたので、前々から、ご報告したかった相手を連れてきたんです。院長に最初にご紹介させていただきたかったので」
牽制と思われないようにさりげなく相手を立てているところはさすがだ。
「こんにちは。突然お邪魔して申し訳ありません」
雪音も挨拶をした。
「いや、いいよ。久しぶりだね。良原くんは順調そうだね?」
「おかげさまで。深沢先生も来週にも退院できると言ってくださって」
院長は秀夫を通じて何度か挨拶をしたことがあるが、病院全体を成長させようと尽力しているのが伝わり、厳しさの中にも情がある方だ。
院長に座るように促され、恐縮しながら腰掛ける。
「そういえば執刀は深沢くんだったな」
「はい。初任者研修からお世話になっていた先生なので緊張しましたが、無事に終えることができてほっとしています」
「深沢くんなら尚更安心して任せられるな」
「はい。精神的にも大変助けていただきました」
秀夫が亡くなってしまうのではと泣くことしか出来なかったあの時、匠の執刀と聞いて希望が膨らんだのは確かだ。
雪音が答えると、院長は満足げにうんうんと頷いた。
「実は、かねてより雪音さんと交際しておりまして、この度結婚が決まりましたのでそのご報告です」
匠が雪音の肩を抱きにこやかに本題に入る。
娘が唖然とした顔で口を大きく開いた。雪音も結婚というワードにぎょっとする。
「うそ! 聞いてないわそんなの! 匠先生ずっと彼女居ないって言ってたじゃない!」
娘はすぐに抗議するが、院長はにこやかにそれを流した。
「ふたりがそんな関係とは知らなかったよ」
そう。雪音だって聞いていない。今回だけ恋人のふりをするって話ではなかったか?
「職場では内密にしていたんです。僕も彼女も騒がれるのが苦手なので」
「付き合いはいつからなんだい?」