女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
匠が執刀医とわかった時、絶望の中一筋の光が見えた気がした。彼の手術の腕は誰からも一目置かれる存在で、その噂を聞き県外から尋ねてくる患者も多い。
秀夫と匠の関係は、匠が幼い頃交通事故に合い入院した時から始まる。聞いた話によると、なかなか見舞いに来られない両親に代わり、主治医であった秀夫がよく面倒をみてあげたとか。そこからずっと交流は続き、匠は同じ大学病院に勤務となった。秀夫は優秀な匠を可愛がり親しくしている。
雪音は彼が定期的に家を訪ねてくるのを見かけていたが、男性が苦手なため簡単な挨拶だけを済ませると、逃げるように自室へ閉じ籠り極力顔を合わせないようにしていた。
しかし、今回ばかりはそんな態度をとるわけにもいかない。
ふと匠と目が合いひゅっと心臓が縮まる思いがした。逸らしたくなる緊張を押し込め失礼のないように丁寧に頭を下げた。
「深沢先生、父を助けていただきありがとうございました。こんなに回復が早いのも先生の執刀のおかげです」
術後すぐは匠も疲れていることを気にして、慌ただしくお礼を伝えただけに留まった。その後も多忙を極める匠とはなかなか時間があわず、ゆっくりお礼を伝える機会がなかった。やっと感謝を伝えられほっとする。
「お役に立てて良かった。僕にとっても大切な恩師ですから」
匠が柔らかく微笑み、雪音は驚いた。
というのも、匠は院内では愛想がなく怖いと有名だからだ。
仕事に関しては男女問わず厳しく指導をする様子を、遠くから何度か見かけたことがあるが、噂通りお世辞にも優しいとは言えないものだった。
もちろん、患者の命を預かっているのだから真剣に仕事に取り組むのは当然だけれど、『才能ない』『紙一重で人殺し』だとか過激な言葉を投げかける瞬間を見かけており、そこまで酷い物言いをしなくても……とはたから見て心配になる程度には冷酷に見えていた。
代わりに患者にはとても丁寧に接するものだから、そのギャップが堪らないと邪険に扱われてもめげない女性も多数存在している。
彼に優しくされる側の特別な人間になりたいという女性はとても多く、これまでに何人もの人がアプローチをし撃沈している噂は毎日のように耳にした。
秀夫と匠の関係は、匠が幼い頃交通事故に合い入院した時から始まる。聞いた話によると、なかなか見舞いに来られない両親に代わり、主治医であった秀夫がよく面倒をみてあげたとか。そこからずっと交流は続き、匠は同じ大学病院に勤務となった。秀夫は優秀な匠を可愛がり親しくしている。
雪音は彼が定期的に家を訪ねてくるのを見かけていたが、男性が苦手なため簡単な挨拶だけを済ませると、逃げるように自室へ閉じ籠り極力顔を合わせないようにしていた。
しかし、今回ばかりはそんな態度をとるわけにもいかない。
ふと匠と目が合いひゅっと心臓が縮まる思いがした。逸らしたくなる緊張を押し込め失礼のないように丁寧に頭を下げた。
「深沢先生、父を助けていただきありがとうございました。こんなに回復が早いのも先生の執刀のおかげです」
術後すぐは匠も疲れていることを気にして、慌ただしくお礼を伝えただけに留まった。その後も多忙を極める匠とはなかなか時間があわず、ゆっくりお礼を伝える機会がなかった。やっと感謝を伝えられほっとする。
「お役に立てて良かった。僕にとっても大切な恩師ですから」
匠が柔らかく微笑み、雪音は驚いた。
というのも、匠は院内では愛想がなく怖いと有名だからだ。
仕事に関しては男女問わず厳しく指導をする様子を、遠くから何度か見かけたことがあるが、噂通りお世辞にも優しいとは言えないものだった。
もちろん、患者の命を預かっているのだから真剣に仕事に取り組むのは当然だけれど、『才能ない』『紙一重で人殺し』だとか過激な言葉を投げかける瞬間を見かけており、そこまで酷い物言いをしなくても……とはたから見て心配になる程度には冷酷に見えていた。
代わりに患者にはとても丁寧に接するものだから、そのギャップが堪らないと邪険に扱われてもめげない女性も多数存在している。
彼に優しくされる側の特別な人間になりたいという女性はとても多く、これまでに何人もの人がアプローチをし撃沈している噂は毎日のように耳にした。