女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
学生時代、授業のフォークダンスでも気分を悪くしていた雪音にとって、男性と手を繋ぐなんてとんでもなく高いハードルだ。
軽く手のひらが触れ、彼の熱がじわりと伝わってくる。

頭だって触れられても大丈夫だった。だから手だって同じだ。
手のひらを重ねただけで動けないでいると、匠からきゅっと握った。

その瞬間、バクンと心臓が一気に跳ねわかりやすく顔色を変える。

「君の男への嫌悪は俺の女嫌いより重症らしいな」
「すみません、すぐに慣れますから」

雪音の様子をしばらく観察してから、匠は「ふうん」と呟き指を絡めて繋ぎ直した。
繋いだ手の平はとんでもない汗をかいている。きっとそれは匠にもバレているだろう。

(大丈夫大丈夫。なんともない)

雪音は卒倒しそうなほどの眩暈に襲われたが、なんとか足を踏ん張る。

まさか契約結婚をするなんて、人生どうなるかわかったものではない。

――ずっと憧れてきた温かい家庭には、程遠い結婚になりそうだった。

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