女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
雪音との暮らしが始まり一カ月ほど経ったが、その生活になんのストレスもないことに匠は驚いていた。

良原雪音は学生の頃から知っているが、秀夫の家ですれ違ってもかろうじて挨拶ができるというくらいで、彼女は常に怯えているように見えていた。
俯きがちで、笑った顔など見たことがない。

秀夫からは事情があって男性を怖がると教えられ、礼儀がないことを謝られたことがある。

尊敬するそ恩師の家の子供ということでどんな子だろうと気にはしていた為、想像と違ってはいたが、特段自分への礼儀を求めることはないため気にしなかった。

暫くすると、雪音は医療事務として同じ職場に就職をした。

彼女は入職した時から『小児科の良原先生の娘』ということで注目されていて、透明感と儚さのある雰囲気が密かに男性たちに受けていた。

男性とは必要最低限しか話さないので、本人は全く気が付いていなかったが、裏では懇意になることが叶わず撃沈している男を何度か見かけた。

秀夫が入院となった時も、主治医となった匠に一切話しかけて来ないのでつくづく大人しい性格だと感じていた。
そんな彼女がある日、バーで出会い系を使い男性を探しているところに遭遇し、匠は大いに驚いた。

友人らしき女性は声が通り、近くの席で飲んでいた匠まで内容が聞こえた。
どうやら雪音のお相手を探しているらしい。
< 44 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop