女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
いつか好きな相手ができた時、男性が怖いのでは可哀想だから、それくらいは役に立ってやりたい。
――そう思って接してきたが、ここ最近、これまでにない感情に支配されていた。
――どうしたことか、雪音が可愛いのだ。
何事も一生懸命な彼女がいじらしく、不憫だった境遇を知って自分が守ってやりたいと思うようになった。
最近の雪音は匠とのリハビリの成果なのか、院内で他の男性にも笑顔を向けることが増え、周囲が騒ついていた。
匠との婚約を発表したからだと思われている節もあるが、その癒しの笑顔に、アタックをしていれば……勿体無いことをしたと地団駄を踏む男性の数は、匠が知っているだけでも片手を超えていた。
それは特段悪いことではないが、匠が信じがたいのは、なんとそれに嫉妬を感じるようになっている自分自身にだ。
雪音に色目を使う男に、彼は俺のものだと苛立ちを覚えている。
入籍まで一週間を切ったある日、秀夫と連絡を取り会うことになった。雪音は仕事をしているので今日はふたりだけだ。
以前は教え子として頻繁にあっていたのに、婚約者の立場で会うとなると少しばかりの緊張が滲んだ。
自宅に伺うといつも通り書斎に通され、真弓がコーヒーをだしてくれた。
途中で買ってきた松江フルーツのフルーツタルトを渡すと、真弓は切りわけてくると言って嬉しそうにキッチンへ向かった。
「先生、具合はいかがですか」
ソファに腰掛けながら、向かいのソファに座る秀夫の状態を診る。
一時期は痩せこけたが、この短期間で随分とはりが出てきていた。
「おいおい、その診察の目はやめてくれ。先週の定期検診で問題なかっただろう」
「ええ、さすが良原先生です。自己管理がしっかり出来ていらっしゃるので順調に回復してますね」
「娘の夫が主治医だとやりづらいな……」
そうは言いつつも、秀夫は満更でもなさそうに笑っていた。
「お話とは……」
わざわざ雪音の居ない時間帯を指定して、ふたりで会いたいと言ってきた。彼女についての話だと想像できる。
切り出すと、秀夫はコーヒーを一口飲んで一息ついてから話し始めた。
「あの子との生活はどうだい?」
「順調です。何時に帰れるかわからないのにいつも食事を作って待っていてくれるのでありがたいですよ。弁当も作ってくれるので、適当な食事で済ませていた時と段違いに体調がいいです」
「そうだろう」
――そう思って接してきたが、ここ最近、これまでにない感情に支配されていた。
――どうしたことか、雪音が可愛いのだ。
何事も一生懸命な彼女がいじらしく、不憫だった境遇を知って自分が守ってやりたいと思うようになった。
最近の雪音は匠とのリハビリの成果なのか、院内で他の男性にも笑顔を向けることが増え、周囲が騒ついていた。
匠との婚約を発表したからだと思われている節もあるが、その癒しの笑顔に、アタックをしていれば……勿体無いことをしたと地団駄を踏む男性の数は、匠が知っているだけでも片手を超えていた。
それは特段悪いことではないが、匠が信じがたいのは、なんとそれに嫉妬を感じるようになっている自分自身にだ。
雪音に色目を使う男に、彼は俺のものだと苛立ちを覚えている。
入籍まで一週間を切ったある日、秀夫と連絡を取り会うことになった。雪音は仕事をしているので今日はふたりだけだ。
以前は教え子として頻繁にあっていたのに、婚約者の立場で会うとなると少しばかりの緊張が滲んだ。
自宅に伺うといつも通り書斎に通され、真弓がコーヒーをだしてくれた。
途中で買ってきた松江フルーツのフルーツタルトを渡すと、真弓は切りわけてくると言って嬉しそうにキッチンへ向かった。
「先生、具合はいかがですか」
ソファに腰掛けながら、向かいのソファに座る秀夫の状態を診る。
一時期は痩せこけたが、この短期間で随分とはりが出てきていた。
「おいおい、その診察の目はやめてくれ。先週の定期検診で問題なかっただろう」
「ええ、さすが良原先生です。自己管理がしっかり出来ていらっしゃるので順調に回復してますね」
「娘の夫が主治医だとやりづらいな……」
そうは言いつつも、秀夫は満更でもなさそうに笑っていた。
「お話とは……」
わざわざ雪音の居ない時間帯を指定して、ふたりで会いたいと言ってきた。彼女についての話だと想像できる。
切り出すと、秀夫はコーヒーを一口飲んで一息ついてから話し始めた。
「あの子との生活はどうだい?」
「順調です。何時に帰れるかわからないのにいつも食事を作って待っていてくれるのでありがたいですよ。弁当も作ってくれるので、適当な食事で済ませていた時と段違いに体調がいいです」
「そうだろう」