女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
秀夫はそれを聞いて嬉しそうにした。
「温かい家庭を夢見て、いつか誰かのためにと料理教室にも通っていたからな」
「そうだったんですね。いつもとても美味しいですよ」
嬉しそうに料理をし、一緒に食事をとるだけで幸せそうにする雪音の姿がうかんだ。
「あの子のことで、話しておきたい事がある」
「はい」
本題だと背筋を伸ばす。
幸せにしてほしいというお願いなのだと思っていた。きっかけは不誠実であったが、今では一番大切にしてあげられるのは自分しかいないと思っている。雪音にはもう少ししたら本音を話し、ゆっくり時間をかけ、改めて信頼をしてもらえるような関係にしていきたい。
「あの子の、男性恐怖症については知っているね。……実はその原因を作ったのは雪音の本当の父親なんだ」
「……え?」
「あの子は七歳の時、孤児院から引き取った養子で、わたしたちとは血が繋がってないんだよ」
ひゅっと息を呑む。
(――待ってくれ)
「養子?」
実の子供ではないだけならなんとも思わない。そういった境遇は自分が知らないだけでいくつもあるだろう。
それよりも、胸の奥がざわつき過去の自分を振り返る。なにか、とんでもないミスを犯していないか?
『あの人の子供とは思えない』
バーで彼女を助けた時、蔑むように放った言葉を思い出す。
あの時はこの女も他と変わらないとがっかりして、イラだっていた記憶がある。
あの時、雪音が泣きそうな顔をしていたことを思い出した。あの時は媚びているとしか思わなかったが、今では傷ついていたのだとわかる。
(俺は何てことを……)
匠の動揺した様子に、秀夫は温かい笑みを見せた。
「元々両親はいたが、母親は蒸発、父親は雪音に暴力を振るい警察に捕まった。雪音は四歳で孤児院に預けられることとなり、わたしたちが出会ったのは七歳の時だ。わたしは愛されず、大人を怖がるあの子にどうにか家族の愛というものを教えてあげたかったんだよ」
秀夫は懐かしそうに話してくれた。
「出会った頃は抱っこもさせてもらえなかった。しかし徐々に心を開いてくれるのが嬉しくてね。きっとわたしはあの子の頭を撫でた最初の男なんだ」
すごいだろう? と誇らしげにする。
確かに、雪音は克服してきたと言うが、いまだに飛び上がるように怯える様子を見ると、当時はもっと大変な状態だったのは想像できた。
「温かい家庭を夢見て、いつか誰かのためにと料理教室にも通っていたからな」
「そうだったんですね。いつもとても美味しいですよ」
嬉しそうに料理をし、一緒に食事をとるだけで幸せそうにする雪音の姿がうかんだ。
「あの子のことで、話しておきたい事がある」
「はい」
本題だと背筋を伸ばす。
幸せにしてほしいというお願いなのだと思っていた。きっかけは不誠実であったが、今では一番大切にしてあげられるのは自分しかいないと思っている。雪音にはもう少ししたら本音を話し、ゆっくり時間をかけ、改めて信頼をしてもらえるような関係にしていきたい。
「あの子の、男性恐怖症については知っているね。……実はその原因を作ったのは雪音の本当の父親なんだ」
「……え?」
「あの子は七歳の時、孤児院から引き取った養子で、わたしたちとは血が繋がってないんだよ」
ひゅっと息を呑む。
(――待ってくれ)
「養子?」
実の子供ではないだけならなんとも思わない。そういった境遇は自分が知らないだけでいくつもあるだろう。
それよりも、胸の奥がざわつき過去の自分を振り返る。なにか、とんでもないミスを犯していないか?
『あの人の子供とは思えない』
バーで彼女を助けた時、蔑むように放った言葉を思い出す。
あの時はこの女も他と変わらないとがっかりして、イラだっていた記憶がある。
あの時、雪音が泣きそうな顔をしていたことを思い出した。あの時は媚びているとしか思わなかったが、今では傷ついていたのだとわかる。
(俺は何てことを……)
匠の動揺した様子に、秀夫は温かい笑みを見せた。
「元々両親はいたが、母親は蒸発、父親は雪音に暴力を振るい警察に捕まった。雪音は四歳で孤児院に預けられることとなり、わたしたちが出会ったのは七歳の時だ。わたしは愛されず、大人を怖がるあの子にどうにか家族の愛というものを教えてあげたかったんだよ」
秀夫は懐かしそうに話してくれた。
「出会った頃は抱っこもさせてもらえなかった。しかし徐々に心を開いてくれるのが嬉しくてね。きっとわたしはあの子の頭を撫でた最初の男なんだ」
すごいだろう? と誇らしげにする。
確かに、雪音は克服してきたと言うが、いまだに飛び上がるように怯える様子を見ると、当時はもっと大変な状態だったのは想像できた。