女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
夜勤だった匠は仮眠を取っていて、今はもうお昼前なので朝食というよりランチだ。
起こしてほしいと頼まれていたので、寝室のドアをコンコンと叩きそっと開けた。
「匠さん、おはようございます」
昨夜は仮眠ができたと聞いていたが、やはり疲れているのか熟睡していた。
ブラインドを開け部屋に日差しを入れると、モノトーンで揃えられた部屋が明るくなった。
「匠さんもう直ぐお昼です」
優しくて声をかけると、匠がもぞもぞと動き眩しそうに目を開けた。
「おはよう」
「おはようございます。朝食ができましたよ」
寝起きの寝ぼけている顔も、美形だと色っぽく見えるらしい。
気だるげに伸びをする姿はドラマのまワンシーンのようだった。
起き上がるとベッドから足を下ろして座る。
「起きる前に抱きしめさせて」
「ええっ……⁈」
(いま、ここで?)
玄関先、キッチン、リビングでくつろいでいる時など隙あらばと至る場所でハグをしているが、寝室のベッドでというのは初めてだ。海外の家族でもこんなにするだろうかと疑問に思うが、接触を繰り返すことで信頼が高まると教えて貰ったし、なにより嫌なわけではない。
しかし、以前より恐怖は無くなったものの、それとは別に高揚してドキドキしてしまうという現象に悩まされている。
「ええと」
無意味に部屋を見回し考える時間を稼ぐが、匠が手を広げたので覚悟を決めた。
「おいで」
「し、失礼しますね」
身を屈ませゆっくり近づくと、ふわりと背中に腕が回った。
身長差があるのでいつもは見上げるばかりだが、今日は匠のつむじが見える。
後頭部の毛がぴょこんと立っており、自然と笑みが溢れる。
(可愛いな)
寝癖が治るように髪を撫でたら、匠が機嫌良さそうに雪音を見上げてきた。
「今日の雪音は出汁のいい匂いがするな」
「卵焼きとお味噌汁作りましたから」
「ありがとう。食べたら区役所に出かけよう」
今日はついに入籍の日だ。
匠は忙しいのでひとりで手続きに行ってもよかったのだが、匠がふたりで届出したいから一緒に行こうと約束してくれた。
不安に襲われるのかと思ったら、これは高揚感とでも言うのだろうか、雪音の胸の中はこれからの未来への期待が占めていた。
ようするに、匠との生活が楽しいのだ。
こうして毎日抱き締めてくれるのは安心できる。声を聞くと穏やかな気持ちになれるし、頭を撫でられるとくすぐったい気持ちで嬉しい。
起こしてほしいと頼まれていたので、寝室のドアをコンコンと叩きそっと開けた。
「匠さん、おはようございます」
昨夜は仮眠ができたと聞いていたが、やはり疲れているのか熟睡していた。
ブラインドを開け部屋に日差しを入れると、モノトーンで揃えられた部屋が明るくなった。
「匠さんもう直ぐお昼です」
優しくて声をかけると、匠がもぞもぞと動き眩しそうに目を開けた。
「おはよう」
「おはようございます。朝食ができましたよ」
寝起きの寝ぼけている顔も、美形だと色っぽく見えるらしい。
気だるげに伸びをする姿はドラマのまワンシーンのようだった。
起き上がるとベッドから足を下ろして座る。
「起きる前に抱きしめさせて」
「ええっ……⁈」
(いま、ここで?)
玄関先、キッチン、リビングでくつろいでいる時など隙あらばと至る場所でハグをしているが、寝室のベッドでというのは初めてだ。海外の家族でもこんなにするだろうかと疑問に思うが、接触を繰り返すことで信頼が高まると教えて貰ったし、なにより嫌なわけではない。
しかし、以前より恐怖は無くなったものの、それとは別に高揚してドキドキしてしまうという現象に悩まされている。
「ええと」
無意味に部屋を見回し考える時間を稼ぐが、匠が手を広げたので覚悟を決めた。
「おいで」
「し、失礼しますね」
身を屈ませゆっくり近づくと、ふわりと背中に腕が回った。
身長差があるのでいつもは見上げるばかりだが、今日は匠のつむじが見える。
後頭部の毛がぴょこんと立っており、自然と笑みが溢れる。
(可愛いな)
寝癖が治るように髪を撫でたら、匠が機嫌良さそうに雪音を見上げてきた。
「今日の雪音は出汁のいい匂いがするな」
「卵焼きとお味噌汁作りましたから」
「ありがとう。食べたら区役所に出かけよう」
今日はついに入籍の日だ。
匠は忙しいのでひとりで手続きに行ってもよかったのだが、匠がふたりで届出したいから一緒に行こうと約束してくれた。
不安に襲われるのかと思ったら、これは高揚感とでも言うのだろうか、雪音の胸の中はこれからの未来への期待が占めていた。
ようするに、匠との生活が楽しいのだ。
こうして毎日抱き締めてくれるのは安心できる。声を聞くと穏やかな気持ちになれるし、頭を撫でられるとくすぐったい気持ちで嬉しい。