女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
匠は冷たく言い切り、騒ぎを聞きつけちょうど駆けつけた警備員に愛美を引き渡した。
「触らないで! あたしを誰だと思っているのよ。院長の娘よ!」
愛美は叫びながらも病院の外に連行される。その姿がみえなくなってから、やっとほっと息をつく。安堵とまだ少しばかりの興奮があった。これまでの自分だったら、確率で具合が悪くなっていたけれど、今はなんともない。変化を実感し、自分で自分を褒めてあげたいくらいに嬉しかった。
「頑張ったな」
匠を見上げると、頭を撫で抱きしめてくれた。
頼もしい胸に包まれると緊張が一気に緩み、じわりと涙が込み上げる。
でも泣くのは恥ずかしくてぐっと耐え、代わりに笑って見せた。
いつも守られる弱い人ではなく、周りにも認めてもらえるよう、匠に相応しい人間でありたい。
「はい。頑張りました」
胸を張ると、匠も嬉しそうにした。
笑い合っていると、カシャカシャとシャッター音が響く。
驚いて応接室の方をみると、ドアは全開でそこから影山がカメラを構えている。その横では佐藤と沙友里が興奮と感動の眼差しでこちらを見ていた。
「すごいわ、ドラマみたいだった」
「そうね! 深沢先生素敵ね〜」
「雪音もナイスガッツ! よく言ったわ!」
きゃっきゃとふたりは手を合わせる。
「すみません、おふたりが素敵でつい。データをプレゼントするんで許してください」
影山は悪びれもせずににんまりとする。
匠は仕方ないとばかりに肩を竦め、雪音のほうを向いた。
「頬の傷は」
匠が雪音の頬にそっと触れた。
叩かれた頬は鈍く痛むが、それほど強く叩かれたわけではないから時間が経てば落ち着くだろう。
「ええ、ちょっとジンジンしますけど。大丈夫です」
「口の中は切れていないか? 口を開けて見せて……傷はないな。熱を持っているから冷そう」
怪我を見ているとすっかり医師の顔だ。
普段の柔らかい笑顔は消え、目元が引き締まり緊張感が生まれる。真剣な眼差しに吸い込まれるように、ぼうっとその姿を眺めた。
そういえば、匠以外の人に自分の気持ちを言ったのは初めてだ。彼への思いをはっきりと口にしたことで、尊敬と好きという気持ちがこれまでよりもっと膨れ上がった気がしていた。
「触らないで! あたしを誰だと思っているのよ。院長の娘よ!」
愛美は叫びながらも病院の外に連行される。その姿がみえなくなってから、やっとほっと息をつく。安堵とまだ少しばかりの興奮があった。これまでの自分だったら、確率で具合が悪くなっていたけれど、今はなんともない。変化を実感し、自分で自分を褒めてあげたいくらいに嬉しかった。
「頑張ったな」
匠を見上げると、頭を撫で抱きしめてくれた。
頼もしい胸に包まれると緊張が一気に緩み、じわりと涙が込み上げる。
でも泣くのは恥ずかしくてぐっと耐え、代わりに笑って見せた。
いつも守られる弱い人ではなく、周りにも認めてもらえるよう、匠に相応しい人間でありたい。
「はい。頑張りました」
胸を張ると、匠も嬉しそうにした。
笑い合っていると、カシャカシャとシャッター音が響く。
驚いて応接室の方をみると、ドアは全開でそこから影山がカメラを構えている。その横では佐藤と沙友里が興奮と感動の眼差しでこちらを見ていた。
「すごいわ、ドラマみたいだった」
「そうね! 深沢先生素敵ね〜」
「雪音もナイスガッツ! よく言ったわ!」
きゃっきゃとふたりは手を合わせる。
「すみません、おふたりが素敵でつい。データをプレゼントするんで許してください」
影山は悪びれもせずににんまりとする。
匠は仕方ないとばかりに肩を竦め、雪音のほうを向いた。
「頬の傷は」
匠が雪音の頬にそっと触れた。
叩かれた頬は鈍く痛むが、それほど強く叩かれたわけではないから時間が経てば落ち着くだろう。
「ええ、ちょっとジンジンしますけど。大丈夫です」
「口の中は切れていないか? 口を開けて見せて……傷はないな。熱を持っているから冷そう」
怪我を見ているとすっかり医師の顔だ。
普段の柔らかい笑顔は消え、目元が引き締まり緊張感が生まれる。真剣な眼差しに吸い込まれるように、ぼうっとその姿を眺めた。
そういえば、匠以外の人に自分の気持ちを言ったのは初めてだ。彼への思いをはっきりと口にしたことで、尊敬と好きという気持ちがこれまでよりもっと膨れ上がった気がしていた。