女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
10
数日後、匠はひとりで昼を食べ、久しぶりにゆっくりしていた。
今日はふたりとも仕事が休みだが、雪音は実家に行っていて午前中から留守にしている。
せっかくの休みなのに一緒に過ごす時間が減るのは残念だが、午後は一緒に過ごそうと約束をしているし、義母が呼んでいたとなれば仕方がない。
遅めのブランチを済ませ、気になっていた映画を一本観ると十四時になっていた。昼過ぎには帰ると聞いていたがまだ帰る気配はないので、コーヒーを淹れ、ソファで本でも読み帰りを待つことにした。
院長の娘、愛美は院長権限で院内立入禁止となり、騒動はひと段落した。なぜこうも匠に固執するのか、また雪音に危害を加えられては困るので調べてみれば、一年前まで付き合っていると言いふらしていた製薬会社の御曹司は婚約を発表しており、愛美のひとり相撲だったと聞く。
他にも医療器メーカーや、アパレルの御曹司の名前も出てきて、愛美は経歴を見てはなんとか付き合えないかと、狙った男にアピールを繰り返すということをやっていたらしい。
「まったく、スペックばかりみてるのはどっちだ」
言いがかりをつけて雪音に暴力を振るったことを許してはいない。
雪音はなんとか乗り越えたが、それは結果論であって、症状が悪化していた可能性だってあったのだから。
院長は以前と同様に謝ってくれ、話のわかる人で良かったとホッとする。
――それにしても、ここ最近の雪音の変わりようには驚きを隠せない。
これまでと何が違うのかというとはっきりとは言えないのだが、まるで蛹が蝶へと変貌をとげたように華やかさが増した。
今日はインタビューを受けた褒美を強請ろうと決めていた日だ。雪音は何が欲しいのかと気にしていたが、まだ秘密にしている。
「早く会いたいな……」
無意識にぼやいており、自分で恥ずかしくなった。
しばらくすると玄関キーのロックが解除される音がしたので出迎えにいくと、廊下が荷物で溢れていた。
「おかえり、どうしたのこの荷物」
大きな紙袋がいくつもあるが、まさか実家からひとりでこれを運んできたのだろうか。
「匠さん、遅くなってしまってすみません。親戚の叔母さんも居て世間話で捕まってしまいまして」
「いいけど、電車でこの荷物をひとりで?」
「いえ、叔母さんが車で送ってくれたんです。ちょっと話が盛り上がりまして、叔母さんの家を経由してこちらを分けてくださる話になりまして……」
雪音は困り顔で、しどろもどろだ。すこし恥ずかしげにチラチラと荷物を見ているが、一体何をもらってきたのか。
今日はふたりとも仕事が休みだが、雪音は実家に行っていて午前中から留守にしている。
せっかくの休みなのに一緒に過ごす時間が減るのは残念だが、午後は一緒に過ごそうと約束をしているし、義母が呼んでいたとなれば仕方がない。
遅めのブランチを済ませ、気になっていた映画を一本観ると十四時になっていた。昼過ぎには帰ると聞いていたがまだ帰る気配はないので、コーヒーを淹れ、ソファで本でも読み帰りを待つことにした。
院長の娘、愛美は院長権限で院内立入禁止となり、騒動はひと段落した。なぜこうも匠に固執するのか、また雪音に危害を加えられては困るので調べてみれば、一年前まで付き合っていると言いふらしていた製薬会社の御曹司は婚約を発表しており、愛美のひとり相撲だったと聞く。
他にも医療器メーカーや、アパレルの御曹司の名前も出てきて、愛美は経歴を見てはなんとか付き合えないかと、狙った男にアピールを繰り返すということをやっていたらしい。
「まったく、スペックばかりみてるのはどっちだ」
言いがかりをつけて雪音に暴力を振るったことを許してはいない。
雪音はなんとか乗り越えたが、それは結果論であって、症状が悪化していた可能性だってあったのだから。
院長は以前と同様に謝ってくれ、話のわかる人で良かったとホッとする。
――それにしても、ここ最近の雪音の変わりようには驚きを隠せない。
これまでと何が違うのかというとはっきりとは言えないのだが、まるで蛹が蝶へと変貌をとげたように華やかさが増した。
今日はインタビューを受けた褒美を強請ろうと決めていた日だ。雪音は何が欲しいのかと気にしていたが、まだ秘密にしている。
「早く会いたいな……」
無意識にぼやいており、自分で恥ずかしくなった。
しばらくすると玄関キーのロックが解除される音がしたので出迎えにいくと、廊下が荷物で溢れていた。
「おかえり、どうしたのこの荷物」
大きな紙袋がいくつもあるが、まさか実家からひとりでこれを運んできたのだろうか。
「匠さん、遅くなってしまってすみません。親戚の叔母さんも居て世間話で捕まってしまいまして」
「いいけど、電車でこの荷物をひとりで?」
「いえ、叔母さんが車で送ってくれたんです。ちょっと話が盛り上がりまして、叔母さんの家を経由してこちらを分けてくださる話になりまして……」
雪音は困り顔で、しどろもどろだ。すこし恥ずかしげにチラチラと荷物を見ているが、一体何をもらってきたのか。