女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
11
雪音は匠のお願いに驚いたが、戸惑いながらも頷いた。と、同時に抱き抱えられ寝室に連行される。
「え、え⁈ もうですか? あ、あの、まだ昼間だしっ」
「夜まで待てない。もちろん優しくするのは前提だが、一度で終わる自信がない。朝までだと雪音が寝不足になるから、今からがいいと思う」
(寝不足……?)
いったいこう言った行為は何時間かかるものなのか、知識も経験もなくもっと勉強しておくべきだった。
とんでもない理由に、恥ずかしさで唖然として反論もできやしない。
ついこの間まで手を繋ぐことも緊張し、ハグやキスにもやっと慣れてきたばかりだから、少しだけ待って貰えないものだろうか。
ゆっくりとベッドに降ろされ、匠が膝をついて跨った。ギシリとベッドが鳴り、緊張で呼吸が浅くなる。
「ずっと、こうしたかった」
匠は頬を撫で、指で唇を柔く突ついた。
「雪音は?」
「わ、私も、匠さんと結ばれたら嬉しいです」
もっと愛されたい、もっと愛したいという欲はある。匠となら幸せになれるという確信があった。
「よかった。ふたりの関係はゆっくりと進めてやりたかったんだが、雪音があまりにも可愛すぎるから我慢できなくて」
嬉しそうに微笑む匠に、愛おしさが溢れた。
自分も誰かをこんな風に喜ばせてあげることができるのだと、またひとつ勇気をもらう。
「雪音の夢を叶えよう。子供は十人だっけ?」
「え、なんでそれを知って……」
確かに昔、引き取られて二年もした頃だろうか、兄弟が欲しいと駄々を捏ね両親を困らせたことがある。
叶わないとわかった時、自分は子供を十人つくって家を子供だらけにするんだと豪語したことがあった。
秀夫もや真弓も子供が好きなことを知っていたし、喜ばれると思っての発言だ。
「雪音のことなら何でも知ってるさ。二十人でもいいぞ。幸せになろう」
瞼に唇を寄せながら匠が囁いた。
胸がじんとして、涙が浮かぶ。幸せすぎて心が震えた。
匠は全身に雪のように優しく、ふわりふわりとキスを舞い降ろす。
肌が触れ合い、心地よさにうっとりとする。
「心臓の音がすごい。でもこれは緊張じゃないな、俺のことが好きで堪らないって言っている」
胸に顔を寄せた匠が吐息を漏らしながら言った。
「心臓外科医ともなると音で違いがわかるんですか?」
「雪音だからわかるんだよ」
視線が絡むと深いキスを繰り返しながら、互いの指を絡める。そのまま肌を触れ合わせると、じわりじわりと互いの熱が全身に満ちていくようだった。
翌朝、目が覚めて最初に思ったことは、お腹が空いた、だ。
なんて色気のない感想だと思うが、日が傾き始める前から夕飯をすっ飛ばし、日付が変わってもそれは続いたのだから、生理的な反応としては間違いではない。
匠は熟睡していて、雪音はシャワーを浴びてから仕事へ行こうとそろりとベッドを出た。
「う……」
立ち上がると腰と足が怠い。
夕飯を食べてシャワーを浴びてからという雪音の案は即座に却下されていたので、あれが明け方まで続いていたのかと思うと早めに事に及んだのは良かったのかなんなのか……。
ともかく、手術で睡眠を削り十時間以上立ちっぱなしというあれだけのハードワークをこなしながら、仕事が終わるとジムで体を鍛えているという体力は、人並み以上……いや、忌憚なき感想を言わせてもらうならば化け物急だと身をもって知ったことになる。
「え、え⁈ もうですか? あ、あの、まだ昼間だしっ」
「夜まで待てない。もちろん優しくするのは前提だが、一度で終わる自信がない。朝までだと雪音が寝不足になるから、今からがいいと思う」
(寝不足……?)
いったいこう言った行為は何時間かかるものなのか、知識も経験もなくもっと勉強しておくべきだった。
とんでもない理由に、恥ずかしさで唖然として反論もできやしない。
ついこの間まで手を繋ぐことも緊張し、ハグやキスにもやっと慣れてきたばかりだから、少しだけ待って貰えないものだろうか。
ゆっくりとベッドに降ろされ、匠が膝をついて跨った。ギシリとベッドが鳴り、緊張で呼吸が浅くなる。
「ずっと、こうしたかった」
匠は頬を撫で、指で唇を柔く突ついた。
「雪音は?」
「わ、私も、匠さんと結ばれたら嬉しいです」
もっと愛されたい、もっと愛したいという欲はある。匠となら幸せになれるという確信があった。
「よかった。ふたりの関係はゆっくりと進めてやりたかったんだが、雪音があまりにも可愛すぎるから我慢できなくて」
嬉しそうに微笑む匠に、愛おしさが溢れた。
自分も誰かをこんな風に喜ばせてあげることができるのだと、またひとつ勇気をもらう。
「雪音の夢を叶えよう。子供は十人だっけ?」
「え、なんでそれを知って……」
確かに昔、引き取られて二年もした頃だろうか、兄弟が欲しいと駄々を捏ね両親を困らせたことがある。
叶わないとわかった時、自分は子供を十人つくって家を子供だらけにするんだと豪語したことがあった。
秀夫もや真弓も子供が好きなことを知っていたし、喜ばれると思っての発言だ。
「雪音のことなら何でも知ってるさ。二十人でもいいぞ。幸せになろう」
瞼に唇を寄せながら匠が囁いた。
胸がじんとして、涙が浮かぶ。幸せすぎて心が震えた。
匠は全身に雪のように優しく、ふわりふわりとキスを舞い降ろす。
肌が触れ合い、心地よさにうっとりとする。
「心臓の音がすごい。でもこれは緊張じゃないな、俺のことが好きで堪らないって言っている」
胸に顔を寄せた匠が吐息を漏らしながら言った。
「心臓外科医ともなると音で違いがわかるんですか?」
「雪音だからわかるんだよ」
視線が絡むと深いキスを繰り返しながら、互いの指を絡める。そのまま肌を触れ合わせると、じわりじわりと互いの熱が全身に満ちていくようだった。
翌朝、目が覚めて最初に思ったことは、お腹が空いた、だ。
なんて色気のない感想だと思うが、日が傾き始める前から夕飯をすっ飛ばし、日付が変わってもそれは続いたのだから、生理的な反応としては間違いではない。
匠は熟睡していて、雪音はシャワーを浴びてから仕事へ行こうとそろりとベッドを出た。
「う……」
立ち上がると腰と足が怠い。
夕飯を食べてシャワーを浴びてからという雪音の案は即座に却下されていたので、あれが明け方まで続いていたのかと思うと早めに事に及んだのは良かったのかなんなのか……。
ともかく、手術で睡眠を削り十時間以上立ちっぱなしというあれだけのハードワークをこなしながら、仕事が終わるとジムで体を鍛えているという体力は、人並み以上……いや、忌憚なき感想を言わせてもらうならば化け物急だと身をもって知ったことになる。