女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
12
新婚生活は順調で、気づけば秋になっていた。
仕事だけならそれほど忙しくはなかったと思うのだが、結婚式の準備も加わるととたんにやるべき事が増え、慌ただしい毎日を送っているとあっという間に時は過ぎた。
匠ほど顔が広いと、招待した方がいいであろう医局の部長や教授も多く、披露宴の人数はどこのセレブのパーティかと思うほど多くなった。
結婚式が終わったらそのまま新婚旅行だ。
長く日程は取れないが、その期間だけでもリフレッシュできればと近場のバリ島を選んだ。プライベートヴィラを予約したので、ふたりでゆっくりする予定となり終わったら次の日には出発する。
そうして、とうとう結婚式を迎えた今日。
冬を迎える直前で、気温も高過ぎず爽やかな秋晴れとなった。
チャペルは日本庭園の中にあり、大きな窓から臨める緑豊かなロケーションと厳粛な雰囲気が程よく調和している。
秀夫も真弓もまだ式が始まってもいないのに朝から涙ぐみながら喜んでくれ、やっと親孝行ができた気がして胸が熱くなった。
「雪音……綺麗だ……」
支度を終え、匠と顔を合わせると匠は眩しそうに目を細めた。
雪音が選んだのは厚地のシルクにプリーツ加工が施されただけのクラシカルなドレスで、レースやビジューは使われておらず、腰にふわりとしたリボンが付いているのが特徴だ。
匠はネイビーのスリーピースタキシードをモデルのように着こなしている。白衣姿も格好いいがスーツ姿となるとまた別の色気と魅力があった。
「匠さんもすごく格好いい。王子様みたい」
お色直しではパステルカラーの水色のAラインドレスに着替える。ふたつともずっと憧れていたおとぎ話をイメージして選んだ。
年甲斐もなく子供のような夢を追いかけて恥ずかしくもあるが、一生に一度のお姫様気分を味わえる日なのだから、存分に堪能させてもらおう。
匠は照れながらも、「では、参りましょうかお姫様」と腕を差し出してくれた。
***
「ああ、移動だけって疲れるな」
匠は荷物を置くとカウチソファに寝そべった。
長時間の飛行機移動が終わり、プライベートチャーターで送迎をしてもらい日が暮れてからやっとヴィラに到着したところだ。
海から近く、小高い丘の上にある広大な敷地内にはプライベートプールと東屋、それに景色を楽しめるバスタブが三つもあった。
バルコニーからはインド洋が臨めるらしい。眼下の海は僅かにライトアップされているが今は暗く、景色を楽しむのは明日になりそうだ。今日は食事と寝るだけになってしまうが、それでも喧騒を離れ、現実離れした世界でふたりだけの時間を過ごせるのは嬉しい。
少し待つと、ヴィラ専属のシェフがバビ・グリンという豪華なローカルディナーを運んで来てくれた。
仕事だけならそれほど忙しくはなかったと思うのだが、結婚式の準備も加わるととたんにやるべき事が増え、慌ただしい毎日を送っているとあっという間に時は過ぎた。
匠ほど顔が広いと、招待した方がいいであろう医局の部長や教授も多く、披露宴の人数はどこのセレブのパーティかと思うほど多くなった。
結婚式が終わったらそのまま新婚旅行だ。
長く日程は取れないが、その期間だけでもリフレッシュできればと近場のバリ島を選んだ。プライベートヴィラを予約したので、ふたりでゆっくりする予定となり終わったら次の日には出発する。
そうして、とうとう結婚式を迎えた今日。
冬を迎える直前で、気温も高過ぎず爽やかな秋晴れとなった。
チャペルは日本庭園の中にあり、大きな窓から臨める緑豊かなロケーションと厳粛な雰囲気が程よく調和している。
秀夫も真弓もまだ式が始まってもいないのに朝から涙ぐみながら喜んでくれ、やっと親孝行ができた気がして胸が熱くなった。
「雪音……綺麗だ……」
支度を終え、匠と顔を合わせると匠は眩しそうに目を細めた。
雪音が選んだのは厚地のシルクにプリーツ加工が施されただけのクラシカルなドレスで、レースやビジューは使われておらず、腰にふわりとしたリボンが付いているのが特徴だ。
匠はネイビーのスリーピースタキシードをモデルのように着こなしている。白衣姿も格好いいがスーツ姿となるとまた別の色気と魅力があった。
「匠さんもすごく格好いい。王子様みたい」
お色直しではパステルカラーの水色のAラインドレスに着替える。ふたつともずっと憧れていたおとぎ話をイメージして選んだ。
年甲斐もなく子供のような夢を追いかけて恥ずかしくもあるが、一生に一度のお姫様気分を味わえる日なのだから、存分に堪能させてもらおう。
匠は照れながらも、「では、参りましょうかお姫様」と腕を差し出してくれた。
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「ああ、移動だけって疲れるな」
匠は荷物を置くとカウチソファに寝そべった。
長時間の飛行機移動が終わり、プライベートチャーターで送迎をしてもらい日が暮れてからやっとヴィラに到着したところだ。
海から近く、小高い丘の上にある広大な敷地内にはプライベートプールと東屋、それに景色を楽しめるバスタブが三つもあった。
バルコニーからはインド洋が臨めるらしい。眼下の海は僅かにライトアップされているが今は暗く、景色を楽しむのは明日になりそうだ。今日は食事と寝るだけになってしまうが、それでも喧騒を離れ、現実離れした世界でふたりだけの時間を過ごせるのは嬉しい。
少し待つと、ヴィラ専属のシェフがバビ・グリンという豪華なローカルディナーを運んで来てくれた。