女嫌いな心臓外科医の契約妻になりました
後ろから支えられるような体制にパニックとなり、その時も混乱して失礼な態度をとってしまっている。辛うじてお礼だけは伝えたが逃げるようにその場を後にしてしまった。
(患者の評判通り、気遣いができて優しい人だ)
看護疲れを見せる真弓にも安心できるような声掛けをしていたし、自分が頑張らねばと気を這っていた雪音にも『良原先生は、君が思い詰めた表情をしていたらすぐに見破るぞ。いまは回復を待つだけなのだから、気負いすぎはよくない』と声を掛けてくれた。
確かに、深刻になりすぎて強張った顔ばかり見せてしまっていたように思う。
こんな状態では余計に秀夫に気苦労をかけると気がつけたのは匠のおかげだ。
それなのに、男というだけで拒否反応を起こして失礼な態度ばかりとっている。
「見舞いだろ。入らないのか」
「あ、はい! 入ります」
当初の目的を思い出し耳を澄ませて中を伺うと、もう話題は違うものに変わってそうだった。
入る前にさっと土産の状態を確認する。まっすぐ落ちたのがよかったのか、箱の中のゼリーは、一番上の飾りのフルーツがずれていただけだった。これなら大丈夫だ。
ほっと息をつくと「どうぞ」と匠がドアを開けてくれる。
「ありがとうございます」
匠に促されながら一緒に病室にはいると、秀夫と真弓がふたりして「おっ」という顔をした。何かを期待する目を向けられたが、それに気がつかないふりをして笑った。
「お父さん具合はどう? お母さん、お疲れ様」
「調子いいよ。いつもより早いじゃないか。今日は患者さん少なかったのかい?」
「フレックス使って早くあがったの。それでね、ジャーン」
持っていた紙袋を掲げて見せる。
「あら、松江フルーツじゃない!」
真弓が嬉しそうに声を高くする。
「季節限定のゼリーが出たから、退院の前祝いでみんなで食べようと思って」
ベッド上に出ていたテーブルに箱を置き中身を見せると、それを覗き込んだ秀夫が「おお」と嬉しそうに声を上げた。
「六個も買ったのか」
「季節限定の柑橘を買いに行ったんだけど、りんごも美味しそうで迷っちゃったの。今年はぐんま名月っていう酸味が少なくて甘味が強い銘柄にしたんだって。これから夕食でしょ。冷蔵庫に入れておくね」
「いや、いま食べよう。匠君も一緒にどうだ?」
「僕もですか?」
(患者の評判通り、気遣いができて優しい人だ)
看護疲れを見せる真弓にも安心できるような声掛けをしていたし、自分が頑張らねばと気を這っていた雪音にも『良原先生は、君が思い詰めた表情をしていたらすぐに見破るぞ。いまは回復を待つだけなのだから、気負いすぎはよくない』と声を掛けてくれた。
確かに、深刻になりすぎて強張った顔ばかり見せてしまっていたように思う。
こんな状態では余計に秀夫に気苦労をかけると気がつけたのは匠のおかげだ。
それなのに、男というだけで拒否反応を起こして失礼な態度ばかりとっている。
「見舞いだろ。入らないのか」
「あ、はい! 入ります」
当初の目的を思い出し耳を澄ませて中を伺うと、もう話題は違うものに変わってそうだった。
入る前にさっと土産の状態を確認する。まっすぐ落ちたのがよかったのか、箱の中のゼリーは、一番上の飾りのフルーツがずれていただけだった。これなら大丈夫だ。
ほっと息をつくと「どうぞ」と匠がドアを開けてくれる。
「ありがとうございます」
匠に促されながら一緒に病室にはいると、秀夫と真弓がふたりして「おっ」という顔をした。何かを期待する目を向けられたが、それに気がつかないふりをして笑った。
「お父さん具合はどう? お母さん、お疲れ様」
「調子いいよ。いつもより早いじゃないか。今日は患者さん少なかったのかい?」
「フレックス使って早くあがったの。それでね、ジャーン」
持っていた紙袋を掲げて見せる。
「あら、松江フルーツじゃない!」
真弓が嬉しそうに声を高くする。
「季節限定のゼリーが出たから、退院の前祝いでみんなで食べようと思って」
ベッド上に出ていたテーブルに箱を置き中身を見せると、それを覗き込んだ秀夫が「おお」と嬉しそうに声を上げた。
「六個も買ったのか」
「季節限定の柑橘を買いに行ったんだけど、りんごも美味しそうで迷っちゃったの。今年はぐんま名月っていう酸味が少なくて甘味が強い銘柄にしたんだって。これから夕食でしょ。冷蔵庫に入れておくね」
「いや、いま食べよう。匠君も一緒にどうだ?」
「僕もですか?」