あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
 今日は傘を持ってこなかったけれど、雨は降らないだろうか。電車に乗り、そんなことを考えつつ窓から外を眺めた。

 待ち合わせの駅に到着して腕時計に目をやると、約束した時間の十分前だった。今日は私のほうが早く着いたかなと思っていたのだけれど、改札を抜けた先に、壁を背にしてスラリと佇む須南先輩の姿を見つけた。
 ネイビーの七分袖のジャケットとベージュの細身のパンツを合わせていて、どんなに控えめに言っても目を見張るほどカッコいい。
 そうだ、大学時代もこうしてキャンパスで目立っていたなと、懐かしい気持ちが湧いてくる。

「すみません、今回もお待たせしてしまって」
「いや、そんなに待ってないよ。君こそ早いな」

 須南先輩はいつもどっしりと構えていて、私とは二歳しか違わないのに、大人の余裕を感じる。

「左手の捻挫、大丈夫?」
「はい。動かすとまだ違和感はありますけど、痛みはもうなくなりました」
「よかったな」

 しっかり病院に通った甲斐があり、ケガをした左手は日を追うごとに回復していった。今はもう、ほとんどの日常生活に支障はない。
 しかし、ひったくりの件は警察からいっこうに連絡がこないので、犯人は現在もまだ見つかっていないのだと思う。
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