あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
「じゃあ……行こうか」
「はい」
 
 駅から数分歩き、「ここ」と告げられた場所は、フレンチレストラン『シェ・オートルフォワ』。
 外壁が石造りで、古いヨーロッパの街角を思わせるような外観だ。
 木製のドアから漏れ出す琥珀色の明かりには温かみがあって、まるで隠れ家のような雰囲気を醸している。

「一度来てみたいお店だったんですよ」
「そうか。ならよかった。入ろう」
 
 彼がドアを開けて中へいざなう。その店に一歩足を踏み入れると、外の喧騒はウソのように消え去り、やわらかい空間が広がっていた。
 クリーム色の壁には、歴史を感じさせるセピア色のデッサン画のアートが数枚並んでいる。
 シワひとつない真っ白なリネンが掛けられたテーブルへ案内され、私たちは座り心地のよそうな黒のレザーチェアに腰を下ろした。

「外観だけでなく、内装も素敵ですね」
「雰囲気がいいよな」
「須南先輩はよく来られるんですか?」
「ここは以前、取引先の人に教わったんだ。だから二度目。ていうかさ……」

 彼が突然会話を止め、言い出しづらそうに私の顔を見た。
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