あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
「す、すみません。仕事の話なんかして……」
「いいよ。もっと聞かせて。どんな記事を書いてるのか興味があるし、凛音のことをくわしく知りたい」

 瀬良さんは嫌な顔をするどころか、むしろ知りたいと言ってくれたのがうれしくて、心の中がぽかぽかと温かい気持ちになった。

「この前は高級温泉宿特集だったんです。……こんな感じで、ちょっぴりリッチで癒しの旅を紹介した記事でした」

 スマホを操作し、話していた雑誌のページを表示させて瀬良さんのほうへ差し向ける。
 
「温泉は王道なんですよ。特に冬は。年末年始だと、子連れで行ける場所とか、ドライブスポットとか」
「いいな。旅行は計画を立てるところから楽しめるもんな」
「そうなんですよ。私はそれを手伝ってる感じですね。……あ、そうだ、渡すものがあったんだった」

 話している途中で思い出した。今日、店に入ったら真っ先に渡したいものがあることを。
 それなのに、連れてこられたレストランが素敵で、料理もおいしくて、すっかり忘れてしまっていたのだ。
 あわててバッグを開けて、ラッピングされた長方形の箱を取り出し、彼のほうへ向けてテーブルの上に置いた。
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