あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
 じゃあ、なぜ私と付き合ったのだろう?
 遊び相手が欲しかった? 本命が現れるまでの〝つなぎ〟だったのかな?
 考えるな、考えたところで答えは出ない。涙で視界がかすむ中、ふるふると小さくかぶりを振った。
 
 雨が降る前に家へ帰ろう。そう思って歩き出したものの、かかとに違和感を覚えた。
 オフィスにぴったりなデザインで、仕事で一日中履いても疲れない設計のパンプス。
 履き心地がよくて買ったのだけれど、新品だったため、まだ自分の足にしっかり馴染んでいなくて、軽く靴擦れを起こしているようだ。出血はしていないが、摩擦で赤くなっている。

 傷がひどくなる前にコンビニで絆創膏を買って貼ろうかと考えながら、もう一度かかとを確認しようと片足立ちになったときだった。
 背後から急ぐような足音が近づいてきたのがわかり、反射的に振り返ろうとした瞬間、肩に掛けていたバッグを引っ張られ、体勢を崩した私はそのまま地面へ倒れ込んだ。

「きゃあっ!」
 
 左手をついて派手に転んだせいで、手首に強い衝撃が走った。突然のことで、なにが起こったかわからない。
 するどい痛みに耐えつつ顔を上げると、私のバッグを抱えた男性が走り去っていく姿が見えた。

「ま、待って!」
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