あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
呼び止めても無駄だった。
相手は〝ひったくり犯〟――黒のキャップをかぶり、濃紺のウインドブレーカーを着ている若い男性だ。
バッグを盗られた。スマートフォンは上着のポケットに入れていたため、幸いにも無事だった。だけどバッグの中には財布が入っている。
……こんなことってあるだろうか。たった今、ほかの女性を選ぶと言われて恋を失い、少なからず傷ついたばかりだ。
今まで真面目に生きてきたつもりなのに、どうして立て続けにひどい目に遭うのだろう。
「う、うう……」
手のひらにできた擦り傷を目にし、情けなくて涙がこぼれた。
この世で一番惨めで孤独なのは私なんじゃないかと思えてきて、お気に入りだったバッグも財布もどうでもいいような気持ちが湧いてくる。
「大丈夫ですか?」
アスファルトの上でうずくまっていると、仕立てのいいスリーピーススーツに身を包んだ男性が駆け寄ってきて声をかけてくれた。先ほど起こったひったくり事件を目撃していたのかもしれない。
「ケガは?」
片膝をついて私の顔を覗き込んだ男性と視線が合った途端、お互いに目を見張った。
「……もしかして、安斉か?」
「須南先輩?」
相手は〝ひったくり犯〟――黒のキャップをかぶり、濃紺のウインドブレーカーを着ている若い男性だ。
バッグを盗られた。スマートフォンは上着のポケットに入れていたため、幸いにも無事だった。だけどバッグの中には財布が入っている。
……こんなことってあるだろうか。たった今、ほかの女性を選ぶと言われて恋を失い、少なからず傷ついたばかりだ。
今まで真面目に生きてきたつもりなのに、どうして立て続けにひどい目に遭うのだろう。
「う、うう……」
手のひらにできた擦り傷を目にし、情けなくて涙がこぼれた。
この世で一番惨めで孤独なのは私なんじゃないかと思えてきて、お気に入りだったバッグも財布もどうでもいいような気持ちが湧いてくる。
「大丈夫ですか?」
アスファルトの上でうずくまっていると、仕立てのいいスリーピーススーツに身を包んだ男性が駆け寄ってきて声をかけてくれた。先ほど起こったひったくり事件を目撃していたのかもしれない。
「ケガは?」
片膝をついて私の顔を覗き込んだ男性と視線が合った途端、お互いに目を見張った。
「……もしかして、安斉か?」
「須南先輩?」