買われた花嫁
『妻』を知る日
「昨日の提案は冗談かと思っていたんですが」

 はっきりと顔に警戒を浮かべた彼女を、昨夜に続いて映画館へ誘ったのは数秒前のこと。

 冗談のつもりなどなかったのに、すっかり嫌われたらしい。

 別にそれでもかまわなかった。彼女との関係に湿度の高いものは求めていない。

「だから、気乗りしないなら『行かない』とひと言言え」

「……目的がわからないので疑っているんです。昨日からなんなんですか、本当に」

 眉間に皺が寄っているのを、不思議な気持ちで見つめる。

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