買われた花嫁
 政略結婚を引き受けるにあたり、彼女の顔写真を何枚か確認した。

 そのどれもが機械のように無表情で、感情の欠片もなかった。今のように感情的に話す姿を、写真に写った彼女からは想像できないくらいに。

「単純に気が向いた。それで理由になるか?」

「……なぜ、気が向いたんですか」

「どんな理由を言えば気に入るのか言えば、それを理由にしてやる」

「話になりません」

 むすっとした彼女は――意外と魅力的だ。

 少なくとも生きた人間を相手している気になる。

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