世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 ぴしゃりと言い放ってから、彼は遠くで存在感を示すエッフェル塔に目を向けた。

「もっと景色を楽しみたいなら、君に合わせて歩くが」

 え、と小さな戸惑いが唇からこぼれ出る。

 この人の性格ならさっさとタクシーを呼んで目的を果たしたいだろうに、私が景色を楽しむ時間を確保するために、わざわざ徒歩に付き合ってくれるというのか。しかもヒールのせいでゆっくり歩かなければならないのに。

 そんな戸惑いと疑問が顔に出てしまっていたのか、再び私に視線を戻した蓮司さんがなんてことのないように言う。

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