世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 今度は私も、蓮司さんがどんな表情をするのかちゃんと見ようと心に決めて。

「そうか。だったら俺を支えにしろ」

「……はい」

 差し出されたままだった手をおそるおそる取り、軽く握ってみる。

 大きくて骨張っている。やわらかさはなく、筋肉が詰まったような硬さを感じた。

 私を引っ張ってくれているようで、決して無理に急がせようとはしない絶妙な力加減が、思いがけず歩きやすくて心地よい。

 彼はそれ以上なにも言わなかったけれど、私の様子を窺っているのは伝わってきた。



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