世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 無事にヒールのない靴を購入した後、蓮司さんに連れられたて来たのは、大通りから少し外れた場所にひっそりと佇む小さな美術館だった。

 白を基調とした高い天井からやわらかな光が降り注ぎ、展示されているルノワールの絵画が、まるで呼吸をしているかのように鮮やかに見えた。

「……ずっと、見たかったんです」

 思わず、独り言が漏れた。

 キャンバスの中で、光を浴びて微笑む少女たち。その色彩の氾濫を前に、息をするのも忘れて見入ってしまう。

「そうか」

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