世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 蓮司さんは興味なさそうに、けれど私の隣から離れずに腕を組んでいた。

 靴の問題がなくなったからかもう手は握っていない。それがなんだか、寒々しい。

 彼は芸術に心を動かされるタイプには見えなかった。

 蓮司さんにとって、これらの名画もまた〝資産価値〟という数字でしか測れないものなんじゃないかと思うほどに。

「外国かぶれだと、ずっと言われてきました」

 沈黙に耐えかねて、私は自分でも意図せぬ本音を口にしていた。

< 221 / 489 >

この作品をシェア

pagetop